旭天鵬、最年長勝ち越し 40歳2カ月
「大相撲九州場所・9日目」(17日、福岡国際センター)
40歳で幕内を務める“角界のレジェンド”旭天鵬が、豊ノ島をはたき込み、1敗を守って勝ち越しを決めた。40歳2カ月と4日での幕内勝ち越しは、昭和以降最年長。横綱鶴竜は関脇碧山を寄り切り、ただ1人全勝をキープした。横綱白鵬は新関脇逸ノ城を上手出し投げで退け、1敗を死守した。逸ノ城は5敗目。
旭天鵬がまたひとつ、大記録を達成した。40歳2カ月4日での幕内勝ち越しを果たし、1935年夏場所で能代潟が作った40歳1カ月15日の「昭和以降最年長幕内勝ち越し」を更新。「よかった。本人がびっくりしているんだから、みんなもびっくりしているよね」と、穏やかな笑顔で感慨に浸った。
負けられない日だった。友綱部屋に移籍する前の師匠、先代大島親方(元大関旭国)の太田武雄さん(67)が観戦。「勝った後に目が合った。親方の目の前で勝ててよかった」。見守った元師匠も、「控えで待つときの汗のかき方がいい。神懸かり的だね」と喜んだ。
若々しい相撲で観客を魅了した。一度当たって離れた後、つんのめったが、奇跡的に手をつかない。すかさず右手で豊ノ島の頭を押さえると、相手が足を滑らせて倒れ込んだ。北の湖理事長(元横綱)は「40歳でこの相撲はなかなか取れない。立派」と褒めちぎった。
トップを走る鶴竜を1差で追う展開。12年夏場所以来、2度目の平幕優勝の声も上がってくるが、「ない、ない。勝ち越しだけで大満足なんだから」。無欲の先に何があるか。今場所の結末が、がぜん楽しみになってきた。