白鵬V32王手「残り2日も思い切り」

 「大相撲九州場所・13日目」(21日、福岡国際センター)

 横綱白鵬が大関琴奨菊を上手投げで退け1敗を堅持。トップを並走していた横綱鶴竜が横綱日馬富士に寄り切りで敗れたため、13日目で単独首位に立った。14日目に日馬富士に勝ち、鶴竜が琴奨菊に負ければ、大鵬に並ぶ歴代最多32回目の優勝が決まる。

 ついに“指定席”に座った。白鵬は控えで鶴竜の敗戦を見届けると、自身はスキのない相撲で琴奨菊に完勝。ただひとり1敗を守り、座り慣れた単独トップの座についた。

 優勝が近づくほどに力を発揮する。体全体に覚え込ませた“HOW TO V”がフル稼働した。立ち合いから厳しく攻め込み、琴奨菊に命綱の左差しを許さない。機を見て大きく踏み込むと、素早く右を差し、左を引いて上手投げを決めた。

 「いい流れの中でチャンスがあった。タイミングよく投げられました。後半戦に入ってから落ち着きが出るようになった。一番一番に集中できています」

 大横綱大鵬が見下ろした高みに登ることを夢見、目標にしてきた。「上がってみなければ分からない景色があると思うので、それを見てみたい」。これまで何度となく口にしてきた。北の湖理事長(元横綱)は「白鵬は常に優勝しているから安定感がある。流れは白鵬」と予想した。

 14日目に日馬富士に勝ち、鶴竜が負ければ、歴史に残る快挙を達成する。「まだそれを考えるのは早い。大関戦が始まってから思い切りのよさが出ているので、残り2日も思い切りいきたい」。いよいよ角界に新たな歴史を刻む。

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