白鵬V32男泣き 大鵬に並ぶ史上最多

 「大相撲九州場所・千秋楽」(23日、福岡国際センター)

 白鵬、涙のV32-。白鵬が鶴竜との横綱決戦を寄り切りで制して14勝1敗とし、大鵬に並ぶ史上最多32回目の優勝を果たした。4場所連続優勝を飾った白鵬は、昨年1月に死去した「昭和の大横綱」と肩を並べる大記録に、涙が止まらなかった。

 涙があふれて止まらない。白鵬が男泣きに泣いた。ついに角界の父と慕う大鵬に並んだ。「いい相撲を取ろうと思った。今はほっとしています。優勝32回は気分がいい。(大鵬は)褒めてくれると思います」。小さな声を絞り出すと、また涙を落とした。

 結びの一番に全力を傾けた。立ち合いは鶴竜が低く当たったものの、右から強烈にいなして形勢逆転。相手が向き直ると、瞬時に左を差し、右を決めて寄り切った。全身で、大入り満員の場内から祝福の拍手を受け止めた。

 優勝インタビューでは「この場を借りて生中継を見ている両親に、またモンゴルの方々に言葉を伝えたい」と、マイクにモンゴル語で語りかけた。「内容は『角界の父の偉大な記録に並んだことは、約束と恩返しができた』、そういうことです」と説明した。

 2000年10月に来日。当時は体重62キロしかなかった少年が、14年の時空を経て、日本が誇る大横綱の不滅といわれた大記録に並んだ。「62キロだった小さい少年が、ここまで来るとは誰も想像しなかったと思います。この国の魂と相撲の神様が認めてくれたから、この結果があると思います」。誇りに満ちた表情で喜びを口にした。

 通常、千秋楽は朝稽古をしないが、この日は特別だった。普段より1時間早い午前8時半過ぎに稽古場へ下り、来日したころの原点を見つめ直すように若い衆と汗を流した。場所中はアルコールを一滴も口にせず、誠実に大記録達成と向き合った。

 大鵬に並び、今度は大鵬超えのV33への期待が膨らむ。北の湖理事長(元横綱)は「40回はいける」と絶賛したが、それを伝え聞くと「うれしいですね。でも、来年のことは聞かないでください」と答えた。しばらくは、夢だった偉業達成の喜びに浸る。

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