稀勢の里いざ大一番!初Vへ白鵬止める
「大相撲初場所・12日目」(22日、両国国技館)
大関稀勢の里が豊ノ島を押し出して2敗を守った。横綱白鵬は大関琴奨菊を寄り切って12戦全勝とした。13日目に白鵬が稀勢の里を下し、2敗の横綱日馬富士が横綱鶴竜に敗れれば、白鵬の5場所連続、単独史上最多33回目の優勝が決まる。かど番の大関豪栄道は鶴竜にはたき込まれ、7敗目で後がなくなった。関脇逸ノ城は、日馬富士に上手投げで敗れ、幕下付け出しデビューから7場所目で初の負け越しとなった。
冷静だった。稀勢の里は立ち合いで鋭く踏み込んで右上手をつかむと、落ち着いた取り口で豊ノ島を攻め立てた。右をねじ込んで2本差しを狙う相手を左からおっつけて寄り立てる。一度は残されて一瞬もろ差しを許したが、すかさず左を巻き替えて胸を合わせる万全の体勢をつくった。最後はまわしから手を離して押し出し、2敗をキープ。白鵬との直接対決へ、文句なしの勝利を手にした。
確かな手応えをつかんでいるのだろう。「右上手が早かった?うん、いい形になった。初日から体が動いているし、日に日に良くなっている」と充実した表情を見せた。白鵬との決戦へ、「思い切っていくしかない。優勝を阻止する?やるからにはそういう気持ちで」と、並々ならぬ決意を示した。
優勝争いの見通しについて、北の湖理事長(元横綱)は「2差は厳しい。よっぽどのことがないとひっくり返らない」と、白鵬断然有利の見解を示した。もっとも、05年秋場所には2敗の横綱朝青龍が13日目に全勝の関脇琴欧州(しこ名は当時)との直接対決に勝ち、2敗で並んだ千秋楽の優勝決定戦で再び琴欧州を破って大逆転Vを成し遂げたケースもある。
可能性はゼロではない。悲願の優勝へ、稀勢の里が一世一代の勝負をかける。