安美錦&照ノ富士 仲良く勝ち越し
「大相撲春場所9日目」(16日、ボディメーカーコロシアム)
平幕安美錦がはたき込みで常幸龍を下し、伊勢ケ浜部屋の弟弟子の新関脇照ノ富士とともに1敗を守り、勝ち越しを決めた。横綱白鵬は碧山を上手出し投げで退け、ただ一人、9連勝。横綱日馬富士は豊ノ島に送り出しで敗れV戦線から後退する3敗目。豊ノ島は4個目の金星を手にした。
36歳、安美錦が技の見本市だ。立ち合い、常幸龍を突いて押した。一瞬、見合う形になった後、向かってきた相手に絶妙のタイミングで首を押さえて、はたき込んだ。
初日の下手投げからすべて違う決まり手で8勝目を挙げ、「しっかり反応できている」と好調さを実感。9日目での勝ち越しは07年秋場所、関脇で初日から8連勝して以来のスピード給金。「早いよね。若い時と同じように動けている。まだまだ伸び盛り。あの時と同じじゃないのは、その時、その時、使える武器がある。やれる自信がある」と、仏様のような細い目をさらに細めて笑った。
“アミ陀仏様”が横綱日馬富士を筆頭に幕内5人の勢力を誇る伊勢ケ浜を見守る。「大きいよね。みんなで稽古して充実。飲みに行く時も一緒に飲みに行くし、部屋が一番、温まっている」。人気芸人・クマムシの「あったかいんだからぁ♪」のように、部屋には今、勢いがある。
自身と同じく前日連勝の止まった照ノ富士には「安美関が負けたから負けた」と言われ発奮した。「勝ってくれるでしょう」との言葉通り、かわいい弟弟子も妙義龍を寄り切って勝ち越しを決めた。
「きのうああ言ったから、勝つしかないなって。安美関は勝ったから、負けたら何か言われると思って」と、照ノ富士は笑顔で胸をなで下ろした。
ともに1敗を死守。「あったかい♪」2人が力を合わせ、無敵の横綱白鵬を追走する。