照ノ富士、トイレ行き忘れ痛恨2敗目…

 「大相撲春場所11日目」(18日、ボディメーカーコロシアム)

 横綱白鵬を1敗で追っていた新関脇照ノ富士が魁聖に寄り切られ、痛恨の2敗目を喫した。白鵬は大関豪栄道を上手投げで下し、全勝をキープ。2度目の6連覇と34度目の優勝へ独走態勢に入った。白鵬を2敗で追っていた大砂嵐、千代鳳はともに敗れ、V戦線から脱落した。横綱日馬富士は小結妙義龍を寄り切って勝ち越した。

 土俵下で出番を待ちながら、照ノ富士の腹は「ピーピーピー」と危険信号が鳴っていた。魁聖と向き合っても意識は自らの下半身に集中するのみだった。

 立ち合った瞬間、「動いたらヤバイ。力は入れられない」と全部の力を抜いた。相撲どころではない。なすすべなく、あっさりと寄り切られた。

 “ベン解”の余地のない判断ミスだった。4日目の朝から部屋内ではやっていた腸炎になり体調不良。トイレに10度行き、「吐くし下痢」と食べたものはすべて出した。最近になり体調も回復し、9日目で勝ち越し。前日10日目には9勝目を挙げ、ただ1人、1敗で全勝の白鵬を追う存在になっていた。

 この好調さが油断だった。「優勝も争っているし、大丈夫だろう」と直前のトイレに行かなかった。

 だが、忘れたころに強烈な“波”は訪れるもの。取組後は「(土俵)下から帰ることなんかできない。ミスった~」と悔やむことしきり。腹に力が入らなかったのか?と問われると、「入ったら出ちゃうじゃん。勝っても出たらおかしいやろ!」と逆ギレした。

 決壊寸前、“土俵際”で醜態だけは阻止したが、肝心の星は守れなかった。2敗目を喫し、白鵬の背中は2差と遠のいた。

 13日目以降に直接対決を残し、逆転Vの可能性は残す。逸ノ城に続く「モンゴルの新怪物」として今場所はブレーク。名誉挽回のためにも再“フン起”を期待したい。

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