遠藤、驚異の回復力で出場へ踏み切る
「大相撲夏場所」(10日初日、両国国技館)
左膝の負傷で夏場所への出場が危ぶまれていた西前頭9枚目・遠藤(24)が5日、埼玉・草加市の追手風部屋での朝稽古を終えたあと、「思ったより体は動いている。今のところは出る方向でいます」と出場する意向を表明。春場所5日目に前十字靱帯(じんたい)の部分断裂などのけがを負い、全治2カ月と診断されたが、奇跡的な回復力で土俵に戻ってくる。
遠藤はこの日、幕下以下の力士を相手に12番取り、立ち合いから鋭い踏み込みを見せるなど負傷の影響をほぼ感じさせなかった。
左膝をケガしてから土俵の中で相撲を取ったのは初めてだったが、「きょうやってみてダメだったら無理だと思った。(相撲を)取ってみて今決めました。(ケガの状態は)良くも悪くもなっていないけど、どんどん良くなると想定していく」と出場に踏み切った理由を説明。負傷箇所にはテーピングやサポーターなどは付けておらず、申し合いのあとも四股やスリ足で汗を流し、最後はぶつかり稽古で幕下の安彦(あびこ)に胸を出した。
春場所5日目の松鳳山戦で左膝のじん帯と半月板を負傷。全治2カ月と診断され春巡業を全休した。手術は回避したものの、なかなか稽古のペースが上がらず夏場所の出場は難しいと思われた。しかし、ここ2、3日で立ち合いの確認をするなど急ピッチで復帰への態勢を整えた。
師匠の追手風親方(元幕内大翔山)も「サポーターも付けてないし順調にきている。普通じゃあり得ないけどね」と愛弟子の驚異的な回復力に舌を巻く。今場所から大銀杏(おおいちょう)を結って土俵に上がる。幕内残留には最低4勝が必要だが、再び負傷して途中休場という最悪のシナリオも考えられる。遠藤が大きなリスクを背負いながら、決死の覚悟で土俵に立つ。