貴乃花親方悲痛…早すぎる兄弟子の死に

 20日に急性心不全のため43歳の若さで急死した大相撲の元大関貴ノ浪の音羽山親方(本名・浪岡貞博)の通夜が21日、名古屋市守山区の斎場で営まれた。喪主は妻の陽子さん。長身を生かした豪快な取り口でファンを沸かせ、温和な人柄で慕われた親方との早過ぎる別れに、約300人の参列者は一様に硬い表情。師匠の貴乃花親方(42、元横綱)もコメントを差し控えた。

 あまりに突然の別れ、まだ音羽山親方の急死から一夜が明けたばかりとあって、関係者はショックから癒える間もなく通夜を迎えることになった。部屋の師匠である貴乃花親方(元横綱)は沈痛な面持ちで、報道陣からのインタビューの要請を景子夫人を通じて固辞した。現役時代から稽古場で切磋琢磨(せっさたくま)してきた1年先に入門した兄弟子を失い、気持ちの整理がつかずショックの大きさをうかがわせた。

 急な知らせを聞いて駆け付けた参列者も、まだ信じられない表情を隠せなかった。同じ大関として土俵でしのぎを削った玉ノ井親方(元大関栃東)は「前から体調が悪いのは知っていたが…。とにかく急なことでビックリしている」と言葉少な。同じく現役時代は大関として激闘を繰り広げ、引退後は記者クラブ、審判委員と同じ部署を歴任した浅香山親方(元大関魁皇)も目を伏せて無言のまま斎場から引き揚げた。

 それでも、相撲をこよなく愛し、後進の指導にも熱心だった親方の人柄に、現役力士は感謝の意を表した。同じ青森県出身の若の里は合宿先の奈良から稀勢の里らとともに駆け付けた。「青森の巡業で自分がヘトヘトになるまで稽古をつけてくれたのが一番の思い出です」としみじみと語った。

 逸ノ城は鳥取城北高時代から音羽山親方のアドバイスを受けており、「いろいろと教えていただいた。ありがとうございました、と伝えました」と遺影に語りかけたという。

 これから大相撲界をさらに盛り上げていくために欠かせない存在だった親方。94年の大関昇進時に口上で『勇往邁進(ゆうおうまいしん)』を誓った親方の遺志を継いで、誰もが全力で相撲道に邁進していくことを誓った。

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