照、新大関Vへ重圧なし 初日は碧山戦
「大相撲名古屋場所」(12日初日、愛知県体育館)
日本相撲協会は10日、愛知県体育館で取組編成会議を開き、2日目までの取組を決定した。平成生まれで初めて大関に昇進した注目の照ノ富士(23)=伊勢ケ浜=は初日に過去4戦4勝の西前頭2枚目・碧山(29)=春日野、2日目は東前頭3枚目・勢(28)=伊勢ノ海=と対戦する。場所前の最終調整を終えた新大関は「重圧も緊張もない」とキッパリ。昭和以降では06年5月場所の白鵬以来、7人目となる新大関優勝へ、いきなりエンジン全開で突っ走るつもりだ。
地位の重みと責任感が、平成生まれ初めての新大関をさらにスケールアップさせた。11日は土俵祭りに出席するため、10日の朝稽古が実質的な場所前の最終調整。新調した黒の締め込みを着けて、小結・宝富士(28)、幕内・誉富士(30)を相手に15番取って14勝1敗。四つに組んでまわしの取り方などを確認する内容だったが、右四つに組んでも左四つに組んでも、圧倒的な地力の違いを見せつけた。
6月には右足にほうかしき炎を発症してコンディションを崩した時期もあったが、名古屋入り後はコンスタントに稽古を重ねて順調に仕上げてきた。体調を問われると「普通です」と答えた後、「きょうの稽古、見ていてどうでした?」と報道陣に逆質問。調子が上がってきていることに自信をのぞかせている様子だった。
相撲協会の看板となる大関に昇進することで、三役時代とは違う重圧に押しつぶされるケースも少なくない。お祝いや行事などが増えて、いわゆる“昇進疲れ”で本業である相撲に集中できなくなるのだ。ところが、照ノ富士は「自分は変わっていない。周りの見る目が変わっただけ」とあくまでマイペース。それどころかイベントなどに参加する機会が格段に増えて、周りからは「オーラが出てきたね」と言われるようになったという。
これまでは他の横綱や大関にオーラを感じる側だった。しかし、角界の主役としての威厳、風格を身につけて「応援してくれる人が多くなると頑張れる。恩返ししたいね」とキッパリ。初日と2日目の対戦相手が決まっても「誰でもいい。いつかは当たるんだから」と悠然と構える。「プレッシャー?ないよ。緊張?してない。いつも通り」とニヤリ。萎縮することを知らない新世代の旗手。その目は賜杯を抱くことしか見据えていない。