白鵬1分10秒熱闘制す 照に貫禄星
「大相撲名古屋場所・11日目」(22日、愛知県体育館)
横綱・白鵬(30)=宮城野=が新大関・照ノ富士(23)=伊勢ヶ浜=を万全の右四つの体勢から寄り切って完勝。大関・琴奨菊(31)=佐渡ケ嶽=を破った横綱・鶴竜(29)=井筒=とともに、1敗でトップを堅持した。
まだまだ土俵の主役を譲るわけにはいかない。白鵬が第一人者の貫禄を見せつけるような白星で、新大関・照ノ富士との1敗同士の対戦に完勝した。パーフェクトな立ち合いで主導権をつかんだ。低く鋭く左足から踏み込んだ瞬間、もう命綱の左前ミツをがっちりつかんでいた。一枚まわしが伸びたため慎重に勝負どころをうかがい、土俵際に詰めてまわしを取り直すと最後は万全の寄り。若き大関はあきらめたように土俵を割った。
優勝争いを大きく左右する1分10秒の熱戦を制して、心地よい汗を流しながら引き揚げてきた。「当たったと同時に、両まわしがいいところを取れた」と会心の立ち合いを振り返る。じっくりと時間をかけた取り口には「今場所はこういう相撲が多いからね。まあ、若さも体重も向こうが上回っているから」と説明した。
9日目の逸ノ城(湊)戦で我を忘れてダメ押しをしてしまい、批判を浴びた。10日目には師匠の宮城野親方(元幕内竹葉山)が審判部から注意を受け、さらに栃煌山(春日野)に敗れて初黒星を喫した。そんな嫌なムードを一変させる快勝劇。V35に向けて、ここから一気にギアを上げていく。