鶴竜2敗死守 逆転Vへ力振り絞る!
「大相撲名古屋場所・14日目」(25日、愛知県体育館)
横綱鶴竜は大関豪栄道にもろ差しを許しながら、外四つの体勢から力強い攻めで2敗を死守。大関稀勢の里に完勝して、1敗で単独トップの横綱白鵬との千秋楽決戦に持ち込んだ。本割-優勝決定戦で連勝すれば、14年3月場所以来、横綱に昇進して初めての優勝をつかみ取る。かど番の大関琴奨菊は関脇逸ノ城を寄り切って7勝7敗。千秋楽の照ノ富士戦にかど番脱出をかける。
名古屋の熱い戦いをここで終わらせるわけにはいかない。自身が負ければ、千秋楽を待たずして白鵬の優勝が決まる可能性がある。絶対に落とせない状況で、鶴竜が横綱の意地を見せた。立ち合いで呼吸が合わず、2度の待った。13日目の稀勢の里戦で立ち合いに失敗して完敗を喫しただけに、慎重のうえにも慎重を期したのだ。
3度目に立ち上がると、左四つに組み止めた。ところが豪栄道が右を巻き替えて2本差し。外四つの厳しい体勢になったが、頭をつけて外側からグイッと引き付けた。苦しくなった豪栄道が引いたところを前に出て寄り切り。「とにかく自分のタイミングで立ちたかった。頭を(相手の)アゴの下に付けて落ち着いて取れたのが良かった」と振り返った。
左肩の負傷のため春、夏場所と2場所連続で全休。名古屋入りしてから出稽古を続けて急ピッチで仕上げてきた。初日に逸ノ城に快勝してリズムをつかむと、白鵬、照ノ富士とともに優勝争いを引っ張った。泣いても笑ってもあと1日。02年1月場所に千代大海(現佐ノ山親方)を本割-決定戦で連破した栃東(現玉ノ井親方)以来となる、奇跡の逆転Vへ向けて「残る力を振り絞ってぶつけていきたい」と意気込んだ。
2場所以上の全休明けの優勝は89年1月場所の横綱北勝海(現八角親方)以来となる。5月末に誕生した長女アニルランちゃんにVを届けるため、鶴竜が一世一代の勝負を挑む。