照ノ富士、全勝止まった V争い混戦に
「大相撲秋場所・12日目」(24日、両国国技館)
全勝で単独トップの大関照ノ富士が関脇栃煌山に寄り切りで敗れ、11連勝でストップした。1敗だった平幕の勢が嘉風に敗れたため単独トップこそキープしたものの、独走状態だったV争いはにわかに混戦模様の様相を呈してきた。2敗は横綱鶴竜と勢、3敗は大関稀勢の里と平幕の豊ノ島の2人となった。
初日からフルスピードで突っ走っていた“照ノ富士特急”が急停車した。5番前にただ一人1敗で追う勢が嘉風に敗れ、この時点で2差がついて13日目にも優勝が決まる可能性が出てきた。ところが、これまで5戦全勝とお得意様の栃煌山を相手に、大きな落とし穴が待っていようとは想像できなかった。
立ち合いから微妙にリズムが狂っていた。当初は右からの張り差しを頭に描いていたが、土俵に上がると迷いが生じてしまったという。中途半端な考えのまま栃煌山の右腕をたぐりにいって、相手にもろ差しを許した。左から抱えて小手に振ったが、西土俵に寄り立てられると最後は右足が土俵を割った。
「ダメだった。いつもより硬かった。原因?分からない」と敗因を挙げた。表情はサバサバしていたものの、目に見えない重圧の影響で本来の動きが見られなかった。朝稽古でも体が動かず、「ちょっと疲れがきてるかな」と疲労がピークに達している状態。残り3日間、予断を許さない状況だ。
北の湖理事長(元横綱)は「照ノ富士は左から強引に振り回すのが癖になっている。上体が反るのも欠点。(優勝争いは)13、14日目によってはどうなるか分からない」と一気に混戦になったと指摘する。この試練を乗り越えられるか、照ノ富士が正念場を迎えた。