鶴竜、目前で照ノ富士負けても反応せず
「大相撲秋場所・13日目」(25日、両国国技館)
鶴竜の目の前で、単独トップ1敗の照ノ富士が崩れ落ちた。結びの一番に勝てばトップに並ぶ。そんな状況になっても、土俵下で控えていた鶴竜はピクリとも反応しない。「自分の相撲に集中できたかな」。何事もなかったかのように、豪栄道戦に向けて集中力を研ぎ澄ました。
鋭い立ち合いから豪栄道を寄って出る。逆転の首投げを得意とする相手にも「立ち合いも良かったし、その後は首投げも警戒して」。万全の体勢で寄り切った。
栃煌山戦では立ち合いで弱気の変化を見せた。来日したころの体重は70キロほど。引き技を出してでも動き回って勝つしかなかった。そのころの癖が抜けないが、その一方で技術を身につけることもできた。
昔から初代貴ノ花ら細身で活躍した名力士のビデオを見てきた。「この相撲だったら自分も取れるかなあ、この技だったらできるかなあ」。得意の巻き替えは師匠の井筒親方(元関脇逆鉾)の直伝。「親方が組んで教えてくれた。常に練習して体で覚えるしかない。ここ最近、ようやく良くなったかなと思う」。まだ完全ではなく、発展途上だ。
もし14日目から照ノ富士が休場し、勢が琴奨菊に敗れれば、稀勢の里との一番に勝つと横綱初優勝が決まる。
そんなことは考えていないだろうが、3連敗中で過去13勝28敗の稀勢の里戦。進化を見せつけなければならない。