照ノ富士に充実感 手負いでも横綱撃破
「大相撲秋場所・千秋楽」(27日、両国国技館)
横綱鶴竜は、大関照ノ富士に本割で寄り切られたものの、12勝3敗で並んだ優勝決定戦を上手出し投げで制し、9場所ぶり2回目の優勝を果たした。
照ノ富士は本割の一番に気力を振り絞った。力なく敗れた前日の相撲を見返し、「下がったり止まったりしたら力が出ない。勝っても負けてもいい」と腹をくくっていた。真っ正面から当たり、一気の寄り。優勝決定戦では屈したが、場所を終え「うれしい気持ちもある」と漏らした。
13日目の稀勢の里戦で右膝を痛め、この日も土俵下では右足を伸ばして控える状態。「痛みは昨日より、きていた」と顔をしかめた。本割後、決定戦の直前まで無数の氷袋と冷却スプレーで患部を冷やした。館内は照ノ富士コールに包まれたが、期待には応えられなかった。
強行出場が間違いでなかったか?と問われると「はい」と明言。「うれしいのもあるし、悔しいのもあるし」と複雑な心境を表現した。「けががひどくならないで終われたのが良かった」。秋巡業は医師と相談して出場を決めるが、15日間を戦い抜いた充実感を漂わせていた。