大関琴奨菊初日から5連勝

 「大相撲九州場所・5日目」(12日、福岡国際センター)

 福岡県柳川市出身の大関琴奨菊(31)=佐渡ケ嶽=は物言いがつく一番になったが、豊ノ島に行司軍配差し違えで勝って初日から5連勝とした。悲願の初優勝をご当所場所で達成するために、序盤戦は最高のスタートだ。全勝はほかに休場明けの横綱白鵬と平幕の勢、千代鳳。横綱鶴竜と大関照ノ富士は早くも2敗目を喫した。

 土俵際、すかされて前のめりに倒れる直前、琴奨菊はめいっぱい手足を伸ばした。ド執念の一押し。軍配は豊ノ島に上がったが、物言い。先に豊ノ島の右かかとが土俵を割っており、行司差し違えで勝ちに覆った。

 「流れの中でしっかりと前に出る意識があったから良かった。しっかり圧力をかけてたから。気持ちの分だけね」。38度目の対戦で最近は5連敗中(不戦敗含む)だった苦手を退け、安どした。

 初日からの5連勝は8連勝した昨年7月の名古屋場所以来、8場所ぶり。先場所は同場所以来、7場所ぶり2桁勝利となる11勝を挙げた。「いつもならもっと先に落ちてたね。足がしっかり運べている」と、充実の表情を浮かべた。

 知人を通して先場所から師事するトレーナーの言葉がピタリとはまった。「マラソンは欲を断つ人が強いけど、格闘系は欲に素直に向き合う人が強い。飲食に制限はない。その代わり体にいいことをしてトータルでプラスになればいい、と」

 精神面が楽になり自身の相撲も見つめ直した。「あれもこれもと考えていたけど、今は相手との体の接地面を増やすことだけを考えている。バットにボールをまず当てる。ヒットかライナーか分からないけど確率論」。得意の“がぶり”で今場所は“打率10割”だ。

 7月に結婚した祐未夫人の本籍は、琴奨菊と同じ福岡県柳川市で今場所にも駆け付けている。部屋では、おかみさん修業中だ。この日も朝稽古後、ちゃんこの世話の合間に、2人で後援者らに仲良くあいさつして回っていた。

 「一番一番大事に」と力を込めた大関。愛する人のためにも、もうひと花、ふた花咲かせる覚悟だ。その先に、悲願の初賜杯という大輪が待っているかもしれない。

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