白鵬痛恨の連敗照ノ富士に寄り切られる

 「大相撲九州場所・14日目」(21日、福岡国際センター)

 横綱白鵬は、右四つがっぷりから3分近い大相撲の末に大関照ノ富士に寄り切られ、連敗で2敗に後退した。白鵬と1敗で並走していた横綱日馬富士は、鶴竜を押し出して単独トップに立った。千秋楽は、日馬富士が稀勢の里に勝てば2年ぶり7度目の優勝が決まり、負ければ、2敗の白鵬と松鳳山の結果次第で優勝決定戦にもつれ込む可能性もある。

 史上最多35回の優勝を誇る横綱の姿は、そこになかった。白鵬は照ノ富士とがっぷり右四つに組み合ったまま長い相撲になり、ほとんど自分から攻めることなく、最後は相手の寄りに力なく土俵を割った。12日目まで全勝で突っ走り、いつもの独走パターンと思わせたが、終盤にきてまさかの連敗でV争いから一歩後退。支度部屋では「まあ、足と体が出なかったね」と淡々と勝負を振り返った。

 この朝、稽古後に北の湖理事長へ惜別の思いを語った。「誰よりも力士のことを一番に考えてくれる理事長で、本当に素晴らしい人だった」と悼んだ。

 今場所10日目の栃煌山戦では奇襲戦法である猫だましを乱発。理事長は「横綱がやる手じゃない。前代未聞。もし負けていたら笑いものだよ」と、最高位にふさわしくない行為を厳しく批判した。「そういった発言も愛のムチだと思う」と受け止めた。

 さらに「同じ大横綱として北の湖理事長から一代年寄をもらいたかった」と語った。多大な功績をたたえて力士名のまま親方になれる一代年寄は、過去に大鵬、北の湖、千代の富士(辞退)、貴乃花にしか贈られていない。相撲協会は年寄名跡の襲名者を「日本国籍を有する者に限る」と規定している。

 順風満帆から一転、逆転でのV36の可能性はかなり低くなった。「長い相撲を取ったので疲れが出ると思う。ゆっくり休んで頑張りたい」と話したが、理事長が亡くなり、敗戦のショックも加わって、言葉に力はなかった。

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