正代、時天空に捧げる新入幕白星
「大相撲初場所・初日」(10日、両国国技館)
新入幕のホープ正代(24)=時津風=が千代大龍をすくい投げで破り、悪性リンパ腫で闘病中の兄弟子・時天空に捧げる幕内初白星を挙げた。横綱は日馬富士が栃ノ心を上手投げで下し、白鵬が勢を突き落として白星発進。鶴竜も苦手としていた新関脇嘉風をはたきこんだ。大関陣は稀勢の里が安美錦に敗れる波乱があった。
抜群の相撲センスが光った。正代は立ち合いでやや立ち遅れたが、必死に相手の突っ張りをかいくぐると、機を見て左からのすくい投げ。記念すべき新入幕最初の一番を白星で飾り「立ち合いで負けているので、あれはタイミングがよかった。狙ってやったわけじゃないけど、白星スタートはうれしい」と冷静に振り返った。
この白星はただの1勝ではなかった。東農大、部屋の大先輩の時天空が8日に時津風親方(元前頭・時津海)を通じて悪性リンパ腫で闘病中であることを公表。昨年2月の入門時から稽古では胸を出してくれ、私生活でも親身に面倒をみてくれた兄弟子の恩に報いる白星だった。
「師匠に『時天空関がいたから今のお前がいる』と言われました。入門してからずっとぶつかり稽古の相手をしてくれたおかげで今の地位にいられる。時天空関はきっとテレビで見ていると思うので、期待にこたえたい」
多彩な技を誇る時天空からは相撲の技術も伝授された。「自分は腰高が課題なので『上体が高い』とか『上手を取れ』と厳しく言われた。時天空関に見られて恥ずかしくない相撲を取ります」。残り14日間も大先輩への思いを込めて土俵に上がる。