琴奨菊きょう白鵬と全勝対決
「大相撲初場所・10日目」(19日、両国国技館)
大関琴奨菊は横綱鶴竜をこん身のがぶり寄りで破り、自身初の初日から10連勝を飾った。横綱白鵬も魁聖を上手投げで下して全勝をキープ。琴奨菊は自身初の優勝、06年初場所の栃東(現玉ノ井親方)以来10年ぶりの日本出身力士の賜杯へ向かって、11日目は白鵬と全勝同士で激突する。横綱日馬富士が1敗で追う。
土俵下で視線を注ぐ白鵬に、琴奨菊は強い相撲を見せつけた。立ち合い、左で張って左を差すと右で抱え込み一気に出た。踏ん張る鶴竜に“代名詞”のがぶり寄り。こん身の力で土俵を割らせた。
精根使い果たし、土俵上では肩で息。支度部屋でも「くー、いやー」と興奮の第一声。「やるべきことをしっかりと。自分を信じていたし、対策をしていた」と力を込めた。
土俵人生15年で初の無傷10連勝には「納得している。やってきたことに満足している」と分厚い胸を張った。
ほんの数場所前までは勝ち越すのもやっとと低迷していた。31歳になっての覚醒の理由は意識改革だ。健康ばかりに気を使っていたが、間違いであることに気付いた。「体を痛めつけても勝たないとダメだ。血糖値を気にすることは真逆のこと」。それからは好きなものを食べて飲む。ストレスを減らしたことで気持ちが充実し、土俵で最大パワーを発揮できるようになった。
日本出身力士として10年ぶり、自身初の優勝へいよいよ最強の敵とぶつかる。11日目は横綱白鵬と全勝同士、まさに一騎打ちだ。
「しっかり準備してるから勝ってるのであって、事前にしっかりやるべきことをやる。そこだけです。自分を信じて、対策を練っていく」といつもの言葉を繰り返した最古参大関。日本の期待を背負い大一番に臨む。