琴奨菊、重圧緊張はねのけ「満足」
「大相撲春場所初日」(13日、エディオンアリーナ大阪)
初の綱とりに挑む大関琴奨菊は高安を冷静に寄り切り、幸先よく白星発進した。横綱白鵬が小結宝富士に11度目の顔合わせで初黒星を喫し、横綱鶴竜も関脇豊ノ島に敗れる波乱があった。休場明けでカド番の大関照ノ富士は栃ノ心を寄り切り、同じくカド番の大関豪栄道も隠岐の海を寄り切った。
満員札止めの観客が沸きに沸いた。琴奨菊が豪快に白星発進。立ち合い左を差して右を抱え込むと、パワフルながぶり寄りを小刻みに繰り出し、高安に何もさせず寄り切った。
初場所の初優勝以降、98年名古屋場所の3代目・若乃花以来18年ぶりの日本人横綱誕生を期待する声は高まるばかり。そのすさまじい重圧、緊張感をはね返しての初日白星に「緊張するのは想定していた。やるべきことがしっかりできているので満足です」と冷静に振り返った。
初優勝からさらなる進化を遂げた。東京と地元福岡県での結婚式、2度の優勝祝賀パレード、さらにイベント出演で、稽古量の少なさが憂慮されたが、深夜に及ぶトレーニングなどで体力を強化。一度優勝を経験したことでメンタル面も強じんになり「やってきたことは間違っていなかった」と自己評価。8日に痛めた右かかと痛も問題にしなかった。
初場所は日々のルーティンを守って結果を出した。この日の朝稽古ではいつものように入念に立ち合いを確認。会場への移動は祐未夫人(29)が東京から運転してきた大型自家用車を使用し、可能な限り初場所と同じ環境で土俵に上がれるような配慮もしている。
平成以降に横綱昇進した9人の綱とり場所は全員が初日白星発進と、データも偉業達成を後押しする。「今日はいい相撲で攻めたから、いい流れがくると思う」。滑り出しは順調だ。