琴奨菊初黒星 連勝止まり綱とり黄信号
「大相撲春場所・5日目」(17日、エディオンアリーナ大阪)
綱とりに挑む大関琴奨菊が17日、隠岐の海に物言いがつく際どい勝負の末、はたき込みで敗れ痛恨の初黒星を喫した。横綱昇進を果たすには連続優勝が必要条件とされ、序盤戦で黄信号が点灯した。全勝は稀勢の里、勢、逸ノ城の3人。これを白鵬、日馬富士、鶴竜の3横綱、琴奨菊、豪栄道らが1敗で追う。
無念の初黒星を喫し、支度部屋に引き揚げて来た琴奨菊が、自分への怒りを爆発させた。「しゃあない!クソ!」。風呂場では言葉にならない叫びを上げ、波立つ心を必死で平静に戻す努力をした。
この日の朝稽古で隠岐の海戦の立ち合いを徹底研究。「強くなるためには正面からぶつかっていく」と作戦を決め、立ち合い一気に前へ踏み込んだ。だが、得意の左を差せず、苦し紛れに差した右をキメられ、土俵際ではたき込みを食った。
行司軍配は隠岐の海。際どい勝負に物言いはついたが、琴奨菊の体が先に落ちるのが早いとして、軍配通りとなった。「(勝負は)分からなかった。でも(ビデオ見て)あかんね」と潔く敗戦を認めた。
八角理事長(元横綱北勝海)は「この負けを引きずっては駄目だ。試練だと思え」とゲキ。横綱昇進へ向けて痛い1敗となったものの、まだ十分にチャンスはある。
「やるべきことはしっかりできている。これからもやるべきことは変わらないし方向性はいい。悔しいけど、自分が納得すればそれでいい。今後につながる負けだと思う」
今場所はアイシングの箇所がゲン担ぎ。この日の取組後は前日までの左ひざから、キメられた右肘に変えた。「ゲン担ぎも(場所を)変えてね。明日からも自分を信じていくしかない」。可能性ある限り夢を追う。