琴奨菊 2敗目喫し綱とり崖っぷち

 「大相撲春場所9日目」(21日、エディオンアリーナ大阪)

 大関同士の大一番は初優勝を目指す稀勢の里が綱とりに挑む琴奨菊を突き落とし、無傷9連勝で単独首位をキープした。幕内史上最多59度目の対戦は、真っ向勝負男がまさかの右へ変わっての決着。琴奨菊は2敗に後退し、綱とりへ崖っぷちに立たされた。

 不完全燃焼だった。琴奨菊は取組後、支度部屋のテレビで自分の相撲を確認すると「しゃあない!あー、クソッ!」と悔しさを爆発させた。正々堂々思い切りぶつかっていったが、立った直後に相手の姿は目の前から消えていた。

 綱とりへ取り返しがつかない黒星。それを相手の変化で喫した。「落ちたオレが一番悪い」と反省したが、やはり納得がいかない様子で「あんなことしなくても強いのに。ああいう相撲でしか勝てないんじゃないか。勝負の世界は勝つやつが強いんだよ。不思議なことにね」と、恨み節も口を突いた。

 この日の朝稽古では大型タイヤに重りを乗せた計100キロを押した。稀勢の里を押し切るためだったが、その成果を出せないまま土俵に落ちた。横綱戦を残して2敗に後退し、綱とりは崖っぷち。昇進の可能性は、優勝ラインが低くなっての連続優勝でわずかに残る。「気持ち切り替えて明日また頑張ります」と必死に前を向いた。

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