白鵬、稀勢止めた 1敗で3人並ぶ
「大相撲春場所・11日目」(23日、エディオンアリーナ大阪)
横綱白鵬が、全勝の大関稀勢の里を寄り倒し、横綱日馬富士を首投げで破った大関豪栄道を加えた3人が1敗で首位に並んだ。平幕の妙義龍は千代鳳を押しだし、2敗を守った。琴奨菊は大関対決で照ノ富士のはたき込みに屈して4敗目を喫し、場所後の横綱昇進の可能性が消えた。
綱の意地と誇りが、土俵上で熱く激しく燃え上がった。2度目の立ち合い。白鵬は素早く低く飛び出し、左で稀勢の里の顔を張って、強烈な右かち上げを見舞った。出遅れた相手の上体をのけ反らせると、左を差して右を抱え込んで、豪快に寄り倒した。
完勝で1敗に引きずり降ろし「無心で、いい相撲を取りにいった。厳しい相撲が取れたね」と満足の笑み。張り詰めた雰囲気の中、最初の立ち合いが不成立だったことには「2日目からの(10連勝の)流れが物語っている。いい緊張感で満足の相撲だった」と静かに振り返った。
朝稽古後は、珍しく報道陣への対応を避けた。今場所の優勝を占う大一番を前に緊張感を漂わせたように見えたが「そんなことはない。(稀勢の里は)昨日も勝って全勝で来い!!という感じだった」と格の違いを強調した。
昨年名古屋のV35以来、3場所優勝がない。横綱になった07年名古屋場所以降、4場所連続で優勝を逃したことはないだけに、今場所への思い入れはひと味違う。1敗で3人が並ぶ展開に「これで終盤、気持ちよくいきたいね」と言い切った。この1勝で余裕という名の武器を得た。大本命がVロードへ加速する。