稀勢の里 敗戦引きずり痛恨の連敗
「大相撲春場所・12日目」(24日、エディオンアリーナ大阪)
大関稀勢の里は横綱日馬富士のはたき込みに屈し、痛恨の連敗を喫した。1敗をキープし単独トップに立った横綱白鵬(宮城野)に1差をつけられ、悲願の初優勝が遠のいた。白鵬に一蹴された大関豪栄道(境川)も2敗に後退。平幕の妙義龍(境川)と合わせ、3人が2敗で追う。
稀勢の里は鼻から流血し、胸には血が何本も垂れ落ちていた。痛すぎる敗戦。支度部屋に戻り、取組の映像を確認すると「あー、あー」と小さく漏らした。
報道陣に背を向けて舌打ちし、悔しさをあらわにした。今場所初めて質問には最後まで無言を貫いた。10日目まで連勝街道を突っ走りながら痛恨の連敗。初優勝の夢が一気にしぼんだことは本人が一番分かっていた。
連勝時とは別人のような動きだった。立ち合い、日馬富士に突き放されると引いて呼び込み、相手を崩した。逆襲に転じたかに見えたが足が出ない。最後ははたかれて、前にバッタリと倒れ込んだ。
この日、朝稽古では「伸び伸びやっているよ。ここからが大事」と平常心を強調。だが、全勝を止められた前日の白鵬戦を明らかに引きずっていた。
理事長ゲキ
八角理事長(元横綱北勝海)は「受け身になっていた。手だけで行っている。(前日から)気持ちを立て直すのは大変。ただ稽古をしていればチャンスはある。最後まで諦めないことが大事」とゲキを飛ばした。
白鵬を1差で追う厳しい立場になったが終わってはいない。最も優勝に近い日本力士と言われながら、先場所は琴奨菊に先を越される屈辱を味わった。残り3日、雪辱機が訪れるのを信じて戦うのみだ。