稀勢の里諦めん 連敗2で止め11勝目
「大相撲春場所13日目」(25日、エディオンアリーナ大阪)
大関稀勢の里が碧山を寄り切り、連敗を2でストップ。11勝目を挙げて逆転初優勝へ踏みとどまった。横綱白鵬は横綱鶴竜を瞬殺し、1敗で単独トップをキープ。豪栄道も照ノ富士との大関対決に完勝し2敗を守った。14日目に稀勢の里、豪栄道が敗れ、白鵬が勝つと4場所ぶり36度目の優勝が決まる。
連敗ショックを振り払った出直し星だ。稀勢の里は右で張って左を差すと、右上手の盤石の形。碧山を土俵際に追い詰め、最後は両差しで寄り切った。
先場所敗れた200キロ超の巨漢を完封。支度部屋では、うまそうに水を飲み干し「ハー」と、3日ぶりの11勝目をかみしめた。
初日から10連勝と初優勝へ快走しながら11日目は白鵬、12日目は日馬富士と横綱に打ち砕かれ失速。この日の朝稽古では、いつも以上に四股を繰り返した。「基本に戻ってしっかりまたやりたい。まだまだある。やってきたことを思い出して」。自らと真剣に向き合って、本来の鋭い立ち合いを取り戻した。
白鵬に1差を付けられ自力での優勝はない。八角理事長(元横綱北勝海)は「この3日間の白鵬は厳しい相撲だ」と終盤の強さに感服。一方で「稀勢の里、豪栄道は気持ちを切らさずよく勝った。最後まで付いていってほしい」と、日本人2大関の意地に期待した。
稀勢の里も奇跡の逆転優勝をあきらめてはいない。「しっかり締めていかないといけない。いろいろありますから。あと2番、どこまでやれるか。やるべきことをしっかり準備してやりたい」。前日は報道陣に背を向け“終戦ムード”すら漂わせた男に勝負師の目が戻って来た。