逸ノ城3つ目金星 禁酒効果さく裂
「大相撲夏場所・3日目」(10日、両国国技館)
西前頭2枚目の逸ノ城が横綱日馬富士を寄り切って昨年春場所以来、3つ目の金星を挙げた。上位の壁に当たり三役から陥落したが、先場所11勝を挙げるなど、禁酒効果で元祖モンゴルの怪物が復活ムードだ。横綱の白鵬、鶴竜は初日から3連勝。大関陣は勢に屈した照ノ富士を除き、3人が全勝をキープした。
“怪物”復活の兆しだ。逸ノ城は立ち合いから日馬富士の突き押しで土俵際に押し込まれたが踏ん張り、巻き替えて右四つに持ち込むと、タイミング良く前に出て寄り切った。
「今までなら横綱に押されて下がってたんですが、下がらなくて残ったのが良かった」と、1分34秒5の長い相撲を振り返った。昨年の春場所にこの日と同じ日馬富士を下して以来、3個目の金星に「座布団が飛んでたんで、これが結びか、と。良かったす」と喜びをかみ締めた。
スピード出世を続けたものの、14年九州場所で三役に昇進してからは上位の壁に苦しんで伸び悩み、すっかり影が薄くなった“怪物”。今年の初場所では自己ワーストの2勝13敗と大きく負け越し、続く春場所では東11枚目まで番付を落とした。
その春場所では、場所中に禁酒するなど意欲的な姿勢で臨み、9場所ぶりの2桁勝利となる11勝を挙げたが、「この番付でこの成績は当たり前。うれしくない。早く三役に戻って相撲を取りたい」と、満足することはなかった。今場所も番付発表の日から禁酒を始め、「(体調は)飲んでいるときとは違う」という。“怪物”が向かう先には勝利の美酒が待っている。