鳥谷、プロ初二塁!坂本と併殺取った
「オールスター・第2戦、全セ4-0全パ」(21日、松山)
全セが4‐0で勝ち、2連勝とした。阪神・鳥谷敬内野手(31)はプロ初の二塁守備をはつらつとこなし、普段はめったに見せない最高の笑顔をファンにプレゼント。藤川球児投手(32)も1回3人斬りで見せ場をつくった。MVPは3回無失点の広島・前田健太投手(24)が獲得した。
二塁手になって、野球小僧になった。さすが球宴。いつもと違う鳥谷がグラウンドにいた。二塁手としての“デビュー戦”。見せ場は、五回1死一、三塁に訪れた。
日本ハム・田中賢の打球が、鳥谷の真っ正面に転がり、大事に捕球して、遊撃・坂本へトス。ボールは一塁に渡り、4‐6‐3の併殺が完成した。普段、感情を表に出さないクールな野手キャプテンの白い歯が輝く。左腕を突き出し、ベンチに戻りながらグラブをバンバンとたたいた。二塁・鳥谷による“プロ初併殺”。約束のプレーを具現化できた喜びがあった。
試合で二塁を守るのは、早大1年以来。昨年のゴールデングラブ遊撃手とはいえ、不安はある。試合前には二塁手の位置で原監督のノックを受け、前日に途中出場から二塁に就いた巨人の遊撃手・坂本と二塁手論を交わした。
「(遊撃と)全然、視野が違う。投げる距離も角度も。角度が合わない、という話をしました」
球界を代表する遊撃手2人による異色の二遊間。鳥谷と坂本は「併殺を取りたいね」と話し合い、試合に臨んだ。その数時間後に訪れた、夢の実現だった。
最初は、らしからぬ動きだった。初回。先頭・聖沢の打球がいきなり一、二塁間に転がる。完全に打ち取った打球だったが、鳥谷はいつも以上の丁寧さと、おそるおそるといったグラブさばきで捕球し、一塁へ送球した。続く角中の打球も投手横を抜ける二塁の守備範囲。試合開始直後の守備2連発で肩の力が抜けた。
「早めに飛んできてくれてよかった。1球くるまでは大丈夫かな、というのはありました」
四回1死には西武・中島の、ななめ後ろに下がりながらの難しい打球をバックハンドで好捕。場内アナウンサーに「ナイスプレー~!!」と絶叫され、笑みをこぼす余裕もあった。六回に代打を出されるまでに、守備機会は5回。2打数無安打と快音は残せなかったが、本職以外でも華麗な守備で魅了した。
前半戦は借金10のチームも、打率2割台前半から中盤をさまよった自身も苦しい時間だった。球宴前には「ここまで納得いく成績ではないですし、(球宴が)後半戦につながるようにできれば」と逆襲を誓っていた。勢いは大事。貴重な体験を必ず後半戦で生かす。