藤浪、絶賛の嵐!守備面も“ダル級”
阪神の山口高志投手コーチ(62)が11日、ドラフト1位・藤浪晋太郎投手(18)=大阪桐蔭=のフィールディング面を“ダルビッシュ級”と絶賛した。鳴尾浜での新人合同自主トレを視察した山口コーチは、身長2メートル近い体格に似合わぬ藤浪の俊敏な動きを高く評価。魅力は150キロ超の直球だけじゃない。虎投手初のゴールデングラブ賞獲得への期待も膨らむ。
慌てる様子はみじんもなかった。流れるようにグラブからボールを右手に持ち替え、丁寧に小豆畑の胸元へボールを返す藤浪。60メートルの遠投後に行われたクイックスロー(素早いキャッチボール)の1シーン。身長197センチの右腕が俊敏に、テンポ良く白球を行き交わせた。
一連の動きが“名伯楽”の目にとまった。「大きい割にしっかりとクイックもできているのが珍しいんちゃうか。すべて及第点じゃないと、あんな春夏連覇なんかできひんから」。こう語ったのは視察に訪れていた山口投手コーチだ。
グラブさばき、足さばき、捕球してからスローへ移るまでのスピード、いずれもプロの平均レベルと比べてそん色はなかった。むしろ藤浪の体格を考えれば、速い部類だといえるだろう。
「昔は190センチを超えたら(動きが)しんどいなとか、粗削りというのがあったけどな。それを変えたのがダルビッシュ。(藤浪は)体のバランスがいいんやろうな。投げるだけじゃあかんから」。山口コーチは球界最高峰の投手を引き合いに出しつつ、藤浪に目を細めた。最速150キロ超の直球だけでなく、クイックやフィールディングなどの技術面も、すでに高いレベルに到達している。
直後のペッパー打撃では脇にそれた打球に対しても常に足を動かして体の正面で捕球した。これはバント処理で基本中の基本といえる地道な動作だ。
与えられたメニューを、いかに自分が成長できるようにアレンジするか。中村GMは「そういうのも(成長する)要素の一つ」と言う。藤浪の頭脳的な一面を感じ取っており「そういうのは練習を見ていても分かる。完璧すぎて怖いくらい」と表情が緩んだ。
ゴールデングラブ賞が創設されてから40年、いまだ阪神は投手部門で受賞者を出していない。もちろん藤浪の今のレベルは、広島・前田健、楽天・田中ら一流選手にはまだまだ及ばない。投球、守備、ともに抜群の成績を残せなければ獲得できないと言われるタイトル。ただそこを目指せるだけの総合力、潜在能力を藤浪は秘めている。