新井が護摩行 金本氏に4番奪回誓う

 右肩の故障から復活を目指す阪神・新井貴浩内野手(35)が14日、鹿児島県内の最福寺で護摩行に取り組んだ。自身9年連続9度目の荒行を終え、苦悶(くもん)の表情。前日13日に、デイリースポーツ評論家・金本知憲氏とマスコミ非公開で行われたトークショーで「僕以外に4番、いますか!?」と豪語したという。4番の座奪回は自身に課したノルマだ。

 左の3番。護摩炉を中心に囲む席割で、最も過酷とされる定位置に自ら赴いた。本堂に高さ3メートル超の炎がたぎる。午後3時20分。読経が響き、池口法主が護摩木をくべ始めた。行者新井の顔面がみるみる赤みを増した。

 「(池口)先生から『下半身から気が出ていない』と言われたので、腹の底から声を出した。心の中で、昨年の自分に対して『くそっ!このやろう!』と叫んでいた。今年は絶対にやってやる。そう思いながら取り組んだ」。境内に護摩場は2カ所。広大な敷地の大仏殿と天井の低い70畳の本堂では、体感温度が違う。今回は法主が「火を強くしたかった」と、本堂が修羅場と化した。

 早朝、大阪から空路鹿児島に入った。日本列島を覆った大寒波の影響でプロペラ機は大揺れ。狭い機内で巨体をかがませながら「今年も来たな。9回目か」と息を吐き、瞳に覚悟をにじませた。

 金本氏の背中を追い、護摩行に初挑戦した04年オフに初タイトルとなる本塁打王を獲得。これを超える御利益はないとばかり、心の師と仰ぐ池口法主への信奉を深めた。9年連続9度目の薩摩来訪。着陸後、腹ごしらえに地元名産のさつま揚げを3枚たいらげ、「行こう」と行に挑んだ。

 前夜、報道陣シャットアウトで開催された金本氏とのディナーショーで、13年度に挑む覚悟を問われ、胸を張ったという。「僕以外に4番打つ人、いますか?」。これまで封印してきた主砲宣言の解禁だった。必要以上に周囲を気遣う性格だ。常々金本氏から「いい人ぶるな!」と、たしなめられてきた。自らを鼓舞する意味もあったのだろう。胸に宿る決意を約800人のファンを前に遠慮なくぶちまけた。

 打率・250、9本塁打、52打点。12年は4番の名を汚す数字が並んだ。快方に向かう右肩痛の診断名はこれまで公にされてこなかったが、昨夏、担当医師から告げられたのは1つではなかった。右肩後方関節唇損傷と鍵盤不全断裂、そして、肩峰下(けんぽうか)滑液包炎。「隠していても仕方がない」。新井が重傷を直視するために、自ら明かした。

 鹿児島で炎を浴び、輝きを取り戻す。腫れ上がった顔面がそう語っていた。

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