阪神のドラフト２位・北條史也内野手（１８）＝光星学院＝が２４日、新人合同自主トレを視察した元監督の吉田義男氏（７９）＝野球評論家＝から「面構えがいい」と資質を評価された。遊撃でのノックを見つめた平田勝男２軍監督（５３）も守備を絶賛。阪神の歴代名遊撃手２人からのお墨付きを得た北條は、守備から成り上がり、吉田氏の代名詞でもある“牛若丸２世”の襲名を目指す。

　軽やかに足を運び、しなやかなグラブさばきで白球を包み込む。三遊間への深く、難しいバウンドを逆シングルで難なく捕球すると、鳴尾浜のスタンドからは歓声が沸いた。インパクト十分な１５分。北條がノックで魅せた。

　高校通算２５本塁打を記録した打撃に注目が集まるが、守備へのこだわりは強い。小学４年まで続けた体操で養われた体の柔らかさと、光星学院での徹底した練習で現在の守備力を身につけてきた。

　「バッティングは打てなかったりする時もあるんで、守備は一番大切だと思っている」。守備の質問になると、表情を引き締めた。

　その顔を、合同自主トレを視察した吉田氏は評価した。「面構えがいいね。長所を伸ばさないとね。これからじっくり見させてもらうよ」。北條がランニングする姿を見て、阪神で脈々と続く、自身の後継者としての可能性を感じ取った。

　守備力への評価も高い。軽快な動きを見せる新人を、後方から見つめた平田２軍監督は満足げに笑った。現役時代に４度もゴールデングラブ賞を獲得した名手は「足を使っているし、身のこなしがいいね。肩がむちゃくちゃ強くなくても、身のこなしができているからショートとして十分に合格点」と高く評価した。

　平田２軍監督は、キャンプでは２軍スタートの北條を指導する。「しっかりした基本はやっていかなければいけないけど、軽いフットワーク、グラブさばきの柔らかさは殺しちゃいけないと思う。やっぱりセンスを感じるもんね」。長所を伸ばして西田らと競わせる方針だ。

　偉大な遊撃の先輩２人からお墨付きを得た北條は「守れなければ試合に出られない。守備に調子はないのでしっかり守れれば試合に出られると思う」。守備から地位を築き、１軍まで駆け上がる。その先に“牛若丸２世”の称号が待っている。