藤浪が高校卒業 将来は先生で凱旋だ
阪神のドラフト1位・藤浪晋太郎投手(18)=大阪桐蔭=が26日、大阪・大東市の母校・大阪桐蔭での卒業式に出席。3年間の高校生活に区切りをつけ、プロ人生の始まりに向け、思いも新たに。プロで活躍した後には“藤浪先生”として、母校に凱旋する希望も明かした。
藤浪の顔に涙はなかった。「1つの終わりは、1つの始まり。卒業したことで一区切り付いた。ここから、しっかりプロとしての自覚を持っていきたい」。野球に打ち込んだ3年間。その充実感が、表情に表れた。
すでに、鳴尾浜では新人合同自主トレをこなし、プロの第一歩を歩み出した藤浪。卒業生713人の中でも、その存在感は際立っていた。だが、久しぶりに会う仲間の前では、18歳らしい屈託のない笑顔があふれる。
3年時には春夏連覇も果たした高校生活。それでも藤浪は「3年間、仲間とグラウンドで毎日練習をした、何げない普段の1日が自分の思い出です」。野球選手として、人間として大きくはぐくまれた感謝の気持ちは大きい。だからこそ、母校への恩返しを考えている。
まずは野球部に対し、「贈り物?もちろんするつもりでいます。まだ具体的には考えていないけど、何かしらの形で、そういうことはしたいと思っている」と、恩返しの寄贈品を検討中。さらにプロで大成した際には、その経験、考えを後輩たちに伝えるつもりだ。
直接の野球指導は、引退後にプロ・アマ両方の講義を受けなければいけないが、現役選手でも承認を受ければ“1日先生”として生徒への講演を行うなどは可能だ。「もちろん、そういう選手になれればですけど、そういう機会があれば、やりたいと思います」と意欲を見せた。
中学から高校2年までは全国大会に手が届かず、大きな挫折を味わってきた。そこからはい上がり甲子園春夏連覇を達成した、反骨の右腕。プロでの成功経験、自身の夢を語る場が実現すれば、後輩たちへの大きな道しるべとなる。
「(高校では)野球の基本も、人間として大切なことも教わった。ずっと大切にして、プロでも生かしたい」。27日に鳴尾浜での新人合同自主トレを打ち上げ、1軍合同自主トレが行われる沖縄に入る。“藤浪先生”は大投手になるその日まで、走り続ける。