藤浪「速ッ」けん制も“剛送球”や!
「阪神春季キャンプ」(5日、宜野座)
黄金右腕の凄みは投球だけではない。阪神のドラフト1位・藤浪晋太郎投手(18)=大阪桐蔭=が5日、室内練習場で行われたサインプレー練習に初めて参加。二塁へのけん制ではベースカバーに入った鳥谷敬内野手(31)、西岡剛内野手(28)らも驚がくの“剛送球”を投げ、周囲の度肝を抜いた。
鳥谷が、西岡が、虎の主軸となる百戦錬磨の選手が、新人右腕のポテンシャルの高さに驚きの声を上げた。室内練習場で行われた二塁けん制のサインプレー練習。そこに初参加となる藤浪の姿があった。直後、その場に居た誰もが黄金右腕の能力を思い知らされることになった。
1度、2度、藤浪が二塁方向へ視線を送る。瞬間、素早いターンとともに剛球が二塁方向へ放たれた。最初にベースカバーに入った鳥谷は捕球後、思わず後ろにのけぞる。西岡は「速ッ!」と驚きの声を。そして黒瀬は捕球後にグラブを取り、左手を振りながら痛がるしぐさを見せた。
先輩選手たちをビビらせた“剛送球”。本人は涼しい顔で「しっかり投げないと、変な所へ行ってしまう。指に掛けて投げました」とミスを軽減するための最善策と話す。とはいえ、中西投手コーチが思わず「もうちょっと、ゆっくり投げろ!」とブレーキをかけるほどの威力だった。
後半は、送球の速度を落として加減した藤浪に「今度は手加減してくれたんだ」と西岡は笑顔。藤浪は「そういう、けん制も(状況に応じては)ありますから」と実戦を想定し、1球たりとも無駄にしなかった。
その投球が注目され続ける藤浪。だが「勝ちにこだわる」右腕は、すべての面で抜群の能力を見せつける。「勝つためには、けん制、フィールディングも大事になってくる。そう思って、しっかりやってきた」と、堂々とした言葉を並べた。
前日までは投内連係で見学に回り、先輩の動きを見て学んできた。この日は初めて二塁けん制のみながら、野手との連係練習となった。「高校でもやってきたプレーにプラス、首の使い方が入ったが、ビックリすることはなかった」と話し、学習能力の高さを示した。
投げても、守っても、非の打ちどころがない。中西コーチは「うまいうまい。問題ないよ。球が速すぎて、野手が大変そうだったけどな」と話せば、久慈内野守備走塁コーチも「プロでやっていけるレベル」と絶賛した。
和田監督も手放しで褒めた。「非常に落ち着いていた。二遊間の動きに合わせて対応できている」。いまだに底を見せない能力とセンス。どこまで想像を超えるのか。藤浪のこれから‐。まだまだ楽しみは尽きない。