鳥谷変身!長尺バットでパワーアップ
「練習試合、阪神(降雨ノーゲーム)LG」(11日、宜野座)
WBC日本代表候補の阪神・鳥谷敬内野手(31)が11日、宜野座で行われた韓国・LGとの練習試合に3番・遊撃で先発出場。降雨のため1回でノーゲームとなったが、第1打席で右越えの二塁打を放ち順調な調整ぶりをアピール。今季はバットを長距離打者用に変え、打撃フォームも遠心力を生かす形に改造、NEW鳥谷が確かな軌道を描く。
長尺バットが奏でた快音‐。宜野座に降りしきる雨を突っ切って、鳥谷の打球が右翼へグングン伸びていった。背走する右翼手のグラブを越え、ワンバウンドでフェンスに達する間に悠々と二塁へ到達。今季初実戦で放った1本は、ニュースタイルを構築するキャプテンの両手に確かな手応えを残した。
場面は2死走者なしで迎えた第1打席だった。カウント2ボール1ストライクからの4球目、141キロの直球をきれいに振り抜くと、打球は楽々と右翼手の頭上を越えていった。その直後、新井良が倒れてチェンジとなったところで球審が中断をコール。その5分後、中止が決まった。
わずか1打席で消化不良だった感は否めないが「ファウルもしっかり振れていたし、ヒットも振り抜けたので良かった」と手応えを口にした。昨オフ、契約メーカーのナイキ社に依頼し、バットの形状を変更。昨年まで使用し、10、11年と2年連続3割をマークしたモデルを思い切って手放した。
長さを長距離打者が用いる33・5インチへと延ばし、グリップエンドも右手の小指がかけられるように改造した。担当者は「33・5インチのバットを使っているのは、球界でも中村ノリさん(DeNA)くらいです。グリップも今までは小指が止まるようになっていたが、今年はかけられるようになっています」と説明する。
狙いは飛距離のアップ。統一球が導入されたここ2年、安打数、二塁打数、本塁打数が減少の一途をたどっている。また相棒だけでなく打撃フォームにも自らメスを入れた。バットを寝かせるように構え、広島・井生スコアラーは「より率を残そうとしているのかもしれないし、遠心力を使って飛距離を伸ばそうとしているのかもしれない。要注意です」と警戒した。
新たな相棒で会心の打球を放ったが「試しながらですね。まだまだこれから」と鳥谷。今後も試行錯誤を続けていくが、打撃フォームは「あの形でとりあえず」とニュースタイルでシーズンに臨む方針だ。
3番打者として、長打力はチームの得点力アップにつながり、外野手が下がることでヒットゾーンも広がる。プロ10年目の決断。統一球に屈しないスイングを追い求めていく。