西岡本領!攻守で“くせ者”ぶり披露
「阪神紅白戦、白0-2紅」(13日、宜野座)
阪神は13日、宜野座球場で紅白戦を行い、白組の「1番・二塁」でスタメン出場した西岡剛内野手(28)が初回の第1打席で三塁前へセーフティーバントを成功させた。意表をつく一瞬のプレーに、客席のファンは拍手喝さい。守備でもダミーで捕球姿勢を取り、二塁走者のスタートを遅らせるなど、勝つための“ずる賢さ”を存分に見せつけた。
プレーボールから数分後、白球が絶妙の勢いで三塁線へ転がった。一瞬、球場の空気が止まったかのように誰もがあっけにとられた西岡のセーフティーバント。三塁のコンラッドが突進し、懸命のランニングスローも間に合わなかった。エンジン全開の背番号7はすでに、一塁ベースを軽やかに駆け抜けていた。
「いい投手と対戦するときは初回の第1打席が大切。ああいうセーフティーは盛り上がる。うまくできた」。西岡は初球セーフティーの意図をこう説明した。あらかじめコンラッドも「バントが得意なのは知っていたので、前に守っていたけど完ぺきなバントを決められた」と脱帽。実戦初安打は、一瞬で敵を出し抜いた内野安打だ。
さらに、「生きるためにやっているので、スタートが大事になる」と一塁へ駆け抜けたスピードはロッテ時代をほうふつとさせた。DeNAの横山スコアラーは「走れるかどうかと見ていたけど、走れる」と断言。巨人の三井統括ディレクターも「イヤだよね。いきなりああいうのを見せられると」と顔をしかめる。
シーズンに入り、西岡のバントを警戒して相手の内野手が前にくれば、おのずとヒットゾーンは広がる。和田監督は「スキあらばと言うところで技術的にも高いものを持っている。他球団のスコアラーも見ていて、見てるのも計算してやっている」と称賛を惜しまない。色んな効果、敵の反応を考えながらプレーする“ずる賢い”一面。それは守りでも発揮されていた。
六回、1死一、二塁から柴田のハーフライナーが二塁後方へと上がった。打球を追った西岡は捕球できないと判断すると、正面を向き「OK!OK!」とかん高い声で捕球姿勢に入った。
だがこれはダミー。その動作に思わず反応した二塁走者・田上がスタートを切れず、ホームまでかえれなかった。「普通にやるよりは、何かやった方がいい。それで引っかかってくれればラッキー」。背番号7はしてやったりの表情だ。
地道に、寡黙にプレーする選手が多い阪神で、西岡のいやらしさが加われば良い相乗効果が生まれる。勝つために、何かやってやろう‐。その意思がチームを変えるために間違いなく、必要だ。