藤浪また弱点発覚!クイック遅かった
「阪神春季キャンプ」(14日、宜野座)
阪神のドラフト1位・藤浪晋太郎投手(18)=大阪桐蔭=が14日、ブルペンでプロ入り初めてクイック投法を披露した。わずか4球だったが、中日・佐藤スコアラーが計測したタイムは1軍レベルよりも遅いことが発覚。その原因と目されるのがリーチの長さで、大きな武器だったその右腕に落とし穴が存在した。
ブルペンで投げ込みを続けていた藤浪が、おもむろにセットポジションへ切り替えた。左足を上げず、地面を滑るように長い足を伸ばすクイック投法。脇で見守っていた中日・佐藤スコアラーがストップウオッチを取りだして計測をスタート。だが4球いずれも1軍レベルを下回った。
「具体的な数字は言えないけど、タイムはすべて同じくらい。1軍レベルよりは遅かった」と佐藤スコアラー。その1軍レベルは一般的に1・2秒といわれており、球界随一の技術を持つ久保は1秒を切る。二盗を阻止するためには捕手との共同作業で3・2秒の送球が必要とされ、藤浪が1・3秒以上だった場合、捕手は2秒を切る一線級のスローイングスピードが要求される。
選択した球種が変化球であれば、さらにタイムはかさむ。なぜ藤浪のクイックは1軍レベル以下なのか‐。その投球を見た巨人・香坂編成調査室長は「ちゃんと軸足に重心を置いて、クイックをしようとする意識は見える。遅くはない。ただ彼の場合は腕が長い。そこで使い方をどうするか、あれだけの体でクイックが速いとはイメージしづらい」と分析する。
山口投手コーチも「クイックでは腕の長さが良い方向に働くとはいえない」と明かした。藤浪の持ち味は球持ちの良さ。足を上げてからリリースするまでのゆったりとした“間”、そして打者の近くから放たれることでタイミングが非常に取りづらい。
その半面、走者を置いた場面では武器であるリーチの長さが、あだとなる可能性もはらんでいる。一般的にいえば、クイックを意識し過ぎるとボールの勢いが失われる。本人も十分にその事実を理解しており「バッターに打たれたら元も子もないので、しっかり、速く投げようとしている」。高校時代にある雑誌で計測されたタイムは「カーブで1・2秒、速いタイムで1・14くらいだった」と言う。
もちろんまだ練習段階。佐藤スコアラーは「きょうは参考程度。これから実戦に入ってどうなるか、判断していく」と話した。自らの武器でもある長いリーチを、いかにコンパクトにまとめるか‐。コンマ1秒の世界が、勝負の明暗を分ける。