福留、初実戦で先制2点打!初球狙った
「練習試合、阪神2‐4ロッテ」(21日、宜野座)
阪神・福留孝介外野手(35)が「5番・右翼」で対外試合初出場を果たした。2打席目に先制の2点適時打を放つなど、期待通りの活躍。試合は2‐4で敗れたが、猛虎復活へ欠かせない男の打棒に、和田豊監督(50)は称賛の言葉を並べた。
チャンスで打順が巡る。それも“選ばれた”選手だけが引き寄せられる強運だ。両チーム無得点の三回2死満塁。この日の2打席目へ向かう福留の背中に、指揮官が、チームメートが、ファンが「この男ならやってくれる」。その思いを送る。
「バットを振ることも、試合に出る中での練習。積極的に振っていこうと思った」。初球の136キロ直球を一閃(いっせん)。鋭い打球が左翼手の右で跳ね上がると、大歓声がわき起こった。スコアボードの得点に「2」が刻まれた。
簡単に打ったように見える移籍初安打。だが、そこにはベテランらしい伏線があった。初回2死一、三塁での第1打席。木村の球を見極める。6球目を打って投ゴロに倒れたが「ずっとボールを見ていたので、2打席目は初球から振っていこうと思っていた」。
三回も3番・西岡が2本目の安打を放つなどで好機が用意されていた。福留は「剛が出てみんながつないで、僕のところに回ってきたのも巡り合わせ」と淡々と語るが、そこで結果を出すのが主軸の責務だ。その重要性を福留は知っている。
和田監督はベテランの一打に「配球を読んで、打球方向を決めて打っている。ああいうシーンをシーズン中、何度も見たいね」と脱帽。そして「勝負強さはベンチも求めるところ。そういうのを見て、若い選手がどう感じるのか」と続けた。
若虎に見せる背中。この一打には、もう1つの意味がある。昨季の阪神打線をアウトカウント別に見ると、打者が初球にバットを振る確率は無死で75%。だが、2死では48%に落ちる。このデータを、福留は頭に入れていた。
関川打撃コーチは「投手も四球を出したくない苦しい状況。孝介が初球から手を出すのはいいこと」と絶賛。状況に応じて相手の心理を読み、勇気を持って初球を狙う。福留のすべてが、虎の戦力となっている証しだ。
三回終了後に交代すると、同じく新加入の西岡が「人の安打がうれしかったのは、初めてです。僕が2本打って福留さんが打たなかったら(周囲に)言われるじゃないですか」と声をかけた。
福留は「西岡選手が2本打っているので、何とか1本打てて良かった」と笑った。背番号「8」は、既に和田阪神に欠かせない存在となっている。