良太が2戦連続先制打で4番の仕事
「オープン戦、ヤクルト8‐8阪神」(24日、浦添)
褐色に日焼けした面構えが、りりしかった。試合後、チームとともに浦添球場から那覇空港へ移動した阪神・新井良太内野手は濃紺のスーツ、ピンク色のネクタイ姿で大阪行きの航空機を待った。大補強で刷新されたチームの先頭に立った24日間。2年連続で春季キャンプMVPに選ばれた男は自信満々で帰阪…と思いきや、意外な言葉が口をついて出た。
「実際、そんなに調子は良くない。打球が上がらないし…。結果は出ているけど、内容が伴っているとは言えない。考えすぎると頭でっかちになるので、考えないようにはしているけど…」
描いている理想と打席での実演がまだ一致しない。そんなジレンマを抱えながら、練習試合5試合、オープン戦2試合で計32打数12安打8打点、打率・375を残した。
この日も初回無死満塁の好機で2点適時打を放った。前日23日の日本ハム戦(名護)に続く2戦連続の先制打でプロ1勝左腕の八木を粉砕。一挙7点の猛攻を演出した。「あの場面で、三振とか一番やっちゃいけないことを頭で整理しながら打席に入った」と振り返ったが、殊勲打よりも手応えを感じたのは、八回の第5打席。日高の変化球を左前に運んだ打撃を「あれは良かった。ボール球だったけど、いい形で前でさばけた。昨年のいいときの形。最後にあのバッティングができたのは今後につながる」と合格点をつけた。
「求められている」と自覚する本塁打が出ていないことがストレスの一端だが、開幕4番候補として着実に階段を上る姿は周囲が認めるところ。黒田ヘッドコーチは「4番?ころころ変えない。あいつが結果を出しているんだから」と、今後も良太に4番を任せるチーム方針を明かした。
今後は甲子園を拠点に自主的に打ち込む時間を設けることも可能だが、「遠征?もちろん、全部行く。(首脳陣から)何も聞いてないけど、選べる立場じゃない」とオープン戦全試合出場を志願した。ひと月先の大舞台を想定する段階はまだ先だが、上昇のプロセスは惜しみなく出し続ける。