アニキ節全開「腹立つ指導者見返せ!」
デイリースポーツ評論家の金本知憲氏(44)が4日、都内で行われた「2013年NPB新人選手研修会」で特別講師を務めた。1月に阪神の若手に講義した金本氏が今回は阪神・藤浪、日本ハム・大谷、巨人・菅野ら12球団の新人選手を相手にプロ野球選手としての心得を説いた。「腹立つ指導者がいたら、力で見返せばいい」とアニキ節も全開。約30分間、熱弁を振るった。
体裁や建前を嫌うアニキらしい熱弁だった。29分30秒のスピーチ。報道カメラの撮影が許されたのは開始5分のみだったが、全て収録されていれば、カットされる箇所があったかもしれない。オブラートに包まず、本音で吐き出す。金本氏は講義中に「今の…口悪いですか?」と、主催者を気遣う場面もあったほど。だからこそ、藤浪、大谷、菅野、東浜ら金の卵たちは、真剣なまなざしで一言一句に耳を傾けた。
「皆さんには長く第一線でレギュラーを張ってほしい。地道な作業ですけど、途中で絶対にふてくされないように。そういう選手は絶対にうまくならない。ふてくされるか、見返してやろうという気持ちを持てるかで、人生は真っ二つに分かれる。もし腹立つ指導者がいたら、力で見返してほしい。言い方は悪いかもしれないけど…。僕も経験がある。そういう人を技術で黙らせてほしい」
金本氏は「僕は24、25歳のとき、一度も特打ちをやらせてもらえなかった」と、不遇な時代を振り返った。今では「最高の恩師」という元広島監督の故三村敏之氏から「お前の代わりはなんぼでもおる」と突き放され、反骨心が芽生えた経験がある。逆風をはね返すだけの技量を身につけろ!地道な努力を惜しまない!と何度も力説した。
B5版のノートに講義のテーマを箇条書きで記して登壇した。数十年前の武勇伝を格好よく伝えるOBの言葉は無視してもいい、とも言った。
「昔の選手は豪傑だったとか、朝まで飲んで勝ち投手になった。そんな話をよく聞くと思う。それは伝説として、絶対見習ってほしくない」
眼前で背筋を伸ばす新人の中にはスター候補が何人もいる。この世界をなめるな‐そんな警鐘も込めて現実論を説いた。
「5~6年、いい成績でレギュラーを張って、初めてレギュラー。2~3年ちょこっとやって、パッと給料もらって、もう勘違いして、遊び倒して…そんな選手を何人も見てきた。飲みに行って、モテるのが格好いいのではない。チヤホヤされることに喜びを感じないこと!皆、勘違いするんですよ、特にタイガースの選手は…。ね!?北條くん。藤浪!大丈夫か!?(笑)」
虎の後輩を名指しして、笑ったアニキ。その目はプロ野球界を背負って立つ黄金新人たちへの愛情で満ちあふれていた。