マートン完全復活!V二塁打&好守も
「オープン戦、阪神6‐4ヤクルト」(12日、甲子園)
阪神が開幕カードの相手・ヤクルトに逆転勝ち。2点を追う六回、5者連続安打を含む集中打で、一気に5点を奪って試合をひっくり返した。勝ち越しの決勝二塁打を放ったマット・マートン外野手(32)は、守りの動きも軽快。三回には左中間への飛球を好捕した。完全復活を目指す助っ人が、開幕へ向けて臨戦態勢に入った。
今年のマートンは違う‐。聖地で開幕相手のヤクルト戦。2年連続最多安打を獲得したあるべき姿へ戻った。キャンプから見せていた兆しが、首脳陣の中で確信へと変わった。和田監督は「今年は足も動いているし、集中力もある」と助っ人の変化を評価した。
攻守にわたって集中力を切らさなかったプレー。0‐0の三回表、先頭の松井淳が左中間へ痛烈な打球を放った。抜ければ長打コースの打球に最短距離で走ってキャッチ。今季から左翼に専念しているが、マートンは「ずっとキャンプから守ってきているので、違和感なく守れてる」と冷静に言ってのける。
「去年までだったら捕れていなかった」と指揮官が評したさりげない好守備。もちろんバットでも確かな変化を見せた。六回、福留の右前2点打で追いつき、なおも無死一、三塁で迎えた第3打席。初球、高めに浮いた変化球を鮮やかに一閃した。打球は弾丸ライナーでレフトの頭上を越えていく決勝の適時二塁打。試合前に前へ突っ込むクセを修正し「みんなが打っていたので、負けないように打てて良かった」。ただ黒田ヘッドコーチは「(ああいう場面で初球から)行くような感じではなかった」と言う。
昨年はチャンスの場面で、狙ったボール以外で初球から振っていくイメージはなかった。どちらかと言えば、じっくり待って相手の失投を仕留めるタイプだった。さらに首脳陣が評価したのは四回の2打席目。1ストライクから村中が投じた直球は高めのボール気味だったが、判定でストライクを取られた。
それでも表情を変えることはなかった。結果は併殺打だったが「気持ちが切れてない。非常に集中力がある」と関川打撃コーチ。何がマートンをここまで変えたのか‐。ダメなら引退という危機感に加え、「コンラッドの存在が大きいのではないか」と球団関係者は言う。
新助っ人に日本語、日本の文化を教えているのは他ならぬマートン。来日した2010年以降、助っ人の入れ替わりはなかったが、今季から“後輩”ができたことでお手本になるよう努めている。心身ともに臨戦態勢を整えた背番号9。今年はやってくれる。思い悩み、後ろ向きに物事を考えるマートンは、もういない。