「オープン戦、オリックス７‐３阪神」（２２日、京セラ）

　まるで水を得た魚のようだ。ＷＢＣの激闘を終え、鳥谷がチームへ復帰した初戦。二遊間を組むパートナーの帰りを待っていた阪神・西岡のプレーが、攻守にさえ渡った。

　まずは二回無死一、二塁での守備だ。竹原が放った二遊間への当たり。難しいバウンドを逆シングルで捕球すると、二塁ベースカバーに入った遊撃・鳥谷へ、バックハンドでの巧みなグラブトス。「違和感はなかった」という鳥谷と息の合ったコンビネーションで、見事に併殺を完成させた。

　先発・メッセンジャーが招いた序盤最大の危機を、ワンプレーで救った。西岡自身も「きっちりとダブルプレーを取れたのは、良かったと思う。投手も助かると思うので」と納得顔だ。

　三回の打席では１死二塁から四球を選び出塁。和田監督をして「彼は選球眼もいいからね」と称賛した西岡のつなぎ。１死満塁の好機をつくり、３番・鳥谷の先制となる２点右前打が生まれた。

　西岡の頭脳プレーは、攻撃でも光を放つ。五回。先頭打者で、カウントは２‐０となった。打者有利のカウントだ。本人も「投手もストライクが欲しい場面。取りに来るので、打つ方がいい」と話す場面だが、西岡が選んだのは、一塁方向へのプッシュバントだ。

　投手・西が捕球したが、一塁手・李大浩が飛び出し、無人の一塁ベースを駆け抜けた。「（投手が）打ってくるだろうというところでやる。裏の裏をかいた。いろいろと考えながらやっています」。投手の心理を読み、その上を行って見せた。

　この内野安打から２死一、三塁となり、今度は５番・福留の右前打で３点目のホームを踏んだ。試合は終盤に投手陣の乱調で逆転負け。だが、西岡は言う。「トリさんも返せるし、福留さんもきっちり、かえしてくれた。打線のつながりとしては、内容的にはいいと思う」。開幕まで１週間。日々存在感を増す新リードオフマンが、猛虎浮沈の鍵を握る。