マートン“新打法”完成で特大の第1号
「オープン戦、阪神3‐1オリックス」(23日、京セラ)
2013年版の新打法が、ここに完成だ。阪神のマット・マートン外野手(31)が23日、オリックスとのオープン戦(京セラ)の二回に、自身オープン戦1号となる超特大弾を左翼最上段へ放った。昨季の不振からの完全復活を予感させる一打に和田豊監督(50)も称賛を惜しまなかった。ブルックス・コンラッド内野手(33)もオープン戦第3号。破壊力のあるMCコンビが虎打線をけん引する。
その弾道、そして飛距離‐。目撃した人すべてが、マートンの完全復活を確信する。それほどの一撃。「いいスイングができたから、ああいう形になったと思うよ」。短い言葉に、その柔和な表情に自信の色が浮かぶ。
両チーム無得点の二回2死。オリックス先発・東野が投じた内角高め、139キロのカットボールを完ぺきに捉えた。「高めの球を、うまく打つことができた」という一打は、左翼席最上段に位置する5階席フェンスを直撃。超特大の自身オープン戦1号となった。
皆が待ち望んだ本塁打だ。打撃はオープン戦序盤から好調をキープ。ただ、この試合まで打率・378を記録していたが本塁打はなかった。
昨季は打率・260、5本塁打。10年に日本記録の214安打を記録した男が、不振から舌禍事件を起こすなど来日3年目で辛酸をなめた。「今年も昨年と同じような成績ならカット(クビ)だ」。悲壮な決意を秘め、打撃フォームは2010年型を基に、左足をすり足に近い形とし、トップの位置を深く取る新しい形に着手していた。
あの豪弾を見れば、一目瞭然(りょうぜん)。新フォームは完成間近だ。マートンも「今の自分の状態はいいと思うよ。シーズンが始まった時には、新しいチャレンジができると思う」と十分な手応えを感じている。
それは和田監督も同じ。「左方向に引っ張って、長いのを打ったのは初めて。キレも出ている」と目を細め、水谷チーフ打撃コーチも「直球系を打ったのが大きい。いい感じで上がってくる」と絶賛。皆が復活を確信する価値ある一発だった。
グラウンド外でもひと味違う。新外国人のコンラッドには先生役として、日本投手の配球や日本食を教えた。この日の二回も、凡退したコンラッドに声を掛ける。「次は本塁打になるよ」。“愛弟子”は、同点の四回に予言通りの勝ち越し2ランだ。舌禍事件など今は昔。チームに欠かせない存在になっている。
新戦力が活躍を続け「チーム全体で、いい状態だと感じるよ」とマートン。西岡、福留、コンラッド‐。それだけでは足りない。マートンの豪打復活。その要素が加わり、2013年版猛虎打線は完成する。