西岡&大和の1、2番で“粘り勝ち”
「オープン戦、阪神3‐1オリックス」(23日、京セラ)
13年度版和田野球の縮図を見た。表面的な傷は負わせなくても、時計の針が進むごとに相手の体力を奪い、精神的ダメージを与えるボディーブロー。阪神の西岡&大和が初回に投げさせた17球が、オープン戦勝ち越しを決める白星の礎となった。
糸を引く西岡の粘りだった。フルカウントからファウルを3球重ね、9球目を中前打。果敢に狙った二塁は糸井の強肩に阻まれたが、東野に投げどころを失わせた完全なる粘り勝ちだ。
大和も共通の鼓動を刻んだ。2球で追い込まれたが、ボールを2球見極め、ファウルを3度挟んだ。8球目が左飛でスコアボードに得点が運ばれることはなかったが、2人で17球を投げさせた結果は、先発投手の備蓄を奪った意味で実に尊い。
三回にも再現した。2死から西岡が8球粘って四球。大和の打席でけん制が3度入った。直後にバッテリーはピッチドアウトして盗塁を警戒した。次球で西岡は二塁にスタートを切り、大和が中前打。ここも得点には至らなかったが、目と足の揺さぶりが敵の首元を締める味な攻撃だった。
西岡「球数を投げさせようとは思ってなかった。塁に出れば得点につながるので。打てる球なら打ちに行くし、ボール球なら振らない。今日は2つフォアボールを選べたので、うまくできたと思います」
西岡がいざない、大和が負けじと続いた粘りの攻撃が、マートンの先制弾とコンラッドの決勝弾を生む背景となった。
「選球眼もある。追い込まれてもファウルを打つ技術がある。大和も西岡の技術を盗もうとしている。1、2番が数多く投げさせることは、長いシーズンでは大事なこと。西岡はチームにいい財産となるものを体で表してくれている」と和田監督は両者をたたえた。
直接的に得点に絡まなくとも、得点を導く働きがある。西岡‐大和コンビが織り成す玄人芸。開幕の音が近づくほどに、期待感は高鳴り続ける。