“開幕男”任せた!福留でVスタートや
プロ野球は29日にセ、パ両リーグ同時開幕を迎える。05年以来の優勝を目指す阪神は28日、神宮球場でナイター練習を行った。期待度No.1は、日米で開幕戦通算打率・354の福留孝介外野手(35)だ。チームは神宮開幕戦4連敗中だが、新加入の『ミスター開幕』がいる限り、恐れるものは何もない。
ついに迎える開幕。日米通算1673安打を誇るスラッガーにとっても144分の1試合ではない。「開幕戦は1年で一番、1試合をやって疲れる」。6年ぶりの日本球界で、縦じまを着て初めて臨む公式戦。福留は集中力を研ぎ澄まし、結果を求める。
「思っていることはある程度できたし、不安を持って迎えるわけじゃない。みんなでいい思いができるシーズンにすれば最高だと思う」
14年間のプロ生活で、開幕戦は無類の勝負強さを誇る。99~07年の中日時代に唯一のビジター開幕だった03年3月28日の巨人戦(東京ドーム)では、上原(現レッドソックス)からソロ本塁打を放つなど、2安打2打点の活躍を見せた。
カブスに移籍した08年の開幕戦では0‐3の九回裏に同点3ラン。衝撃的なメジャーデビューを飾った。開幕戦は日米通算で13試合に出場し、48打数17安打で打率・354、3本塁打、12打点。まさに“開幕男”だ。
神宮での開幕戦は77年に勝った後、81年から4連敗中のチームにとっては、福留にはほかにも頼もしいデータが並ぶ。中日時代に神宮で77試合に出場して打率・299、20本塁打、47打点と得意にしていた。
さらに、ヤクルトの開幕投手・館山は阪神戦で通算15勝6敗2S、防御率2・14と“虎狩り”が得意。だが、福留は、その館山との通算対戦成績が打率・500、4本塁打、6打点。いいイメージを持って、試合に臨める状況は整っている。
開幕が迫っても気持ちを高ぶらせる様子はなかった。27日の東京入り後は、宿舎への移動中に満開の桜に見とれるなど、リラックス。中日時代は開幕前に家族で尾頭付きの鯛を食べて出陣を祝ったが「(ビジターなので)何もしない。アメリカ行って、それもしなくなったね」と豪快に笑った。
ナイター練習のフリー打撃では右翼席へ5本の柵越えを放った。「前の日から(開幕を)意識することはない。良太は既におかしいけどな(笑)。俺は(前日でも)寝られるしね。人間の集中力って、3時間も4時間も持てへんぞ」。今季の阪神の浮沈を担う背番号8。静かに、自然体で、新シーズンの第一歩を踏み込む。