阪神・藤浪“歴史的出陣”にも平常心

 阪神ドラフト1位・藤浪晋太郎投手=大阪桐蔭=が31日のヤクルト戦(神宮)に先発で公式戦初登板を果たす。開幕3試合目の先発デビューは、ドラフト制導入後の高校新人としては史上最速となる。開幕戦の17安打が一転、第2戦はわずか3安打で完封負け。開幕カード勝ち越しがかかる大事なマウンド。スーパールーキーが歴史的な1勝でチームを勢い付ける。

 歴史を塗り替える。開幕3戦目。ドラフト制導入後の高卒新人では、史上最速となる先発デビュー。大きな期待を背負い、藤浪が公式戦初先発のマウンドに立つ。「できるだけ平常心でいるようにしています。高ぶりはないですけど、楽しみです」。スーパールーキーは高鳴る鼓動を抑えて、冷静にこう話した。

 本番を前に完璧に近い状態に仕上げた。神宮球場のブルペンで和田監督、中西投手コーチらの前で41球を投じた。「良かったと思います。リリースの感触が自分としてはすごく良かった。この調子で明日行ければと思います」と確かな手応えを口にした。

 中西投手コーチも「(調整方法など)工夫しながら、やるだけのことはやった。あとは思い切ってやるだけ。良いスタートが切れるように」と自信を持ってルーキーを送り出す。

 開幕戦では打線が17安打9得点と爆発したが、2戦目では一転して3安打完封負け。オープン戦期間中から藤浪が投げる試合では得点が少ない傾向にあり、指揮官も「明日はいろんな思いを持っていると思うので、何とか援護できるようにやります」と攻撃面でのバックアップを約束した。藤浪は打線の援護を望む一方で、ヤクルト打線を抑えることを誓った。

 「できれば点を入れていただければ。たくさん点がある方が投げやすいですし。もちろん入らなくても、その分しっかり自分が投げればいい。しっかり自分のピッチングをしたいと思います」

 心配は降雨も予想される天気だけ。高校時代に雨の中での登板は記憶にないというが、「雨が降ると思ってグラウンドには行きません。ゲームがあるつもりで行く。雨の中のゲームであっても、しっかり自分の投球をしたいと思います」と自身の投球に集中する。

 発奮材料もある。母校の大阪桐蔭がセンバツ3回戦で県岐阜商に惜敗。藤浪は広報を通して「負けてしまったのは残念ですが、主力選手がいない中、最後まで粘りを見せてくれたと思います」とコメントした。

 史上初の春夏春3連覇に挑んだ後輩たちの姿は目に焼き付けた。今度は先輩の出番だ。勝てば、高卒ルーキーでは史上最速の先発勝利。前人未到の偉業を成し遂げ、球史にその名を刻む。

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