藤浪、上出来7Kデビュー…次は勝てる
「ヤクルト2‐0阪神」(31日、神宮)
阪神のドラフト1位・藤浪晋太郎投手(18)=大阪桐蔭=が31日、ヤクルト戦(神宮)で公式戦初先発した。開幕3試合目の先発デビューは、ドラフト制導入後の高卒新人では最速。6回を投げ3安打2失点(自責点1)で初黒星を喫したが、大きな可能性をうかがわせた。
初球、思いきり腕を振って投じた150キロの剛速球。球速表示に、底冷えした神宮がざわついた。藤浪が力強く踏み出した、プロの第一歩だった。
「感動するとか感傷に浸っている間はなかったです。これからシーズンが始まるので頑張ろうという気持ちになりました」
待っていたのは試練だった。先頭の田中浩の打球を一塁・新井良が失策。続く上田には四球を与え、その後1死二、三塁から4番の畠山に詰まりながらも中前へ運ばれた。
いきなりの失点。それでも終始、冷静さは失わなかった。新井良のミスの直後には、笑顔を見せる余裕もあった。
「ミスは誰にでもありますし、ピッチャーも四球を出すので。それをカバーできなかったので、今後しっかりできるようにしたいです」
高い修正能力も見せた。三回までは4四球を出すなど制球に苦しみ、要した球数は77球。だが「三回ぐらいに体が開いていると思った」と、問題点を見つけだした。
四回以降はテンポのいい投球を披露。六回、雄平にソロを浴びたが、公式戦初先発のマウンドは6回3安打2失点(自責点1)。最速151キロの直球を主体に7三振を奪った。「十分な内容だ」と、中西投手コーチは合格点を与えた。
藤浪の両親も大阪から駆けつけ、スタンドから見守った。母・明美さんは藤浪が登板する前に、必ず自宅近くの「多治速比売(たじはやひめ)神社」で手を合わせる。藤浪も少年野球の必勝祈願で訪れた神社。明美さんは今回も、お参りしてから東京に入った。
「ドキドキして見ていました。途中からリズムがよくなりましたけど、ホームランの1点が余計でしたね」。評価は厳しいが、息子の力強い姿に、どこかホッとしたようでもあった。
粘り強い投球を、和田監督は高く評価した。「リズム、テンポも四回からかなり良くなった。三回まで苦労したけど、それでもランナーを背負いながら最少失点でよく粘ったよ」。藤浪自身も「テンポとかリズムとか、ピッチャー独特の感覚をつかめたのは収穫です」と手応えを口にした。
プロ初登板でスーパールーキーが見せた無限の可能性。次こそプロ初勝利をつかみ取る。