西岡サヨナラ打!お立ち台で虎党に誓い

 「阪神4-3中日」(2日、京セラ)

 少しやんちゃだけど、頼もしい。阪神には今までいなかったニュータイプのヒーロー誕生だ。地元開幕戦。3‐3の九回、西岡剛内野手(28)が決めた。無死一、三塁から右前へサヨナラ安打。お立ち台での誓いの言葉にファンは泣けた。「1年間、命懸けで阪神タイガースのために頑張ります」。

 一、二塁間にできた大きな輪に、歓声のシャワーが降り注いだ。そのど真ん中で西岡が、右腕を突き上げた。和田阪神を変える象徴が、奈落の底へ落ちていきそうなチーム、そして自らをも救ったサヨナラ打。シンデレラストーリー顔負けの結末で、本拠地のファンを興奮のるつぼに陥れた。

 「それまでは全く打てへんし、エラーはするし…。ここで打たへんかったら、どん底まで落ちると思った」とお立ち台で振り返った。打っては4タコ、四回の守りでは初失策も記録した。ただひたすら、悔しさをあらわにし、名誉挽回のチャンスを待っていた。

 そして野球の神様はもう一度だけ、チャンスを与えることにした。それが同点の九回、無死一、三塁の場面だった。

 田島の初球、内角カットボールを強振して左足に自打球を当てた。激痛に耐えながら「もう1球、内に続いてくる。犠飛もダメな場面でバッテリーは詰まらせたい。だから内角一本に絞っていった。読めました」。中日の頭脳・谷繁の配球パターンを本能で感じとった2球目、難しい内角143キロ直球を鮮やかに振り抜いた。

 痛烈な打球は右前に落ちる自身2度目のサヨナラ安打。「僕がいいとこ取りをしただけ。坂がよく打ってくれたし、小宮山もバスターでつないで、荒木も三塁まで走ってくれた。全員がヒーローです」とたたえる。

 序盤の失敗を一振りで打ち消し、負の連鎖も止めた背番号7。それを可能にしたのが高い技術だ。キャンプ中の対外試合から、オープン戦を通じて一度もバットを折っていない。メーカー担当者は「形状的に折れにくいわけではない」と言う。

 それでも、すべてのボールに対し的確なミートポイントで打ち返してきた。関川打撃コーチが「いつか練習のとき、マスコットの芯の部分を1球も外さなかった」と驚かされたこともあった。

 その自信があるからこそ、極限の場面で打者が最も嫌がるゾーンをあえて狙える。チームを5割に戻した価値ある一打。そこには高い技術力、精神力が凝縮されている。

 試合後には「桧山さんに面白いことを言ってこいと言われたので」とお立ち台で自虐的なコメントも交えて笑いを誘った。地元ファンの熱い声援に「感謝しかないです」とうれしそうに語った。西岡の快進撃は、完全復活と言える日まで止まらない。

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