福留 決着弾!延長12回劇的V1号
「広島6‐7阪神」(5日、マツダ)
阪神が5時間1分の激闘を制した。最大5点差をひっくり返しての逆転勝利だ。決めたのは福留孝介外野手(35)。同点で迎えた延長十二回、先頭で右翼へ勝ち越しの決勝ソロを放った。七回には新井良太内野手(29)が同点二塁打。九回には、鳥谷敬内野手(31)が今季チーム1号となる勝ち越しソロ。チーム一丸となって勝利をもぎ取った。
これぞ千両役者・福留の真骨頂。見せ場は、最後の最後に待っていた。同点の延長十二回だ。先頭打者で、背番号「8」は打席に向かった。ここまで5打数無安打。だが‐。「開き直っていくしかない。思い切っていこう」。男の執念が、劇的な瞬間を引き寄せた。
カウント2‐2。広島8番手・江草の投じた5球目だ。真ん中に入ってきた直球を見逃さなかった。一閃(いっせん)。打球は広島ファンの悲鳴を切り裂き、右翼席へと飛び込む、自身日本球界復帰後第1号の決勝ソロとなった。
「それまでの打席で、同じように(直球で)やられていた。何とかして、打ってやろうと思っていた」。まさに意地の一撃。ベンチで出迎える仲間たち。その全員とハイタッチを交わしながら、普段はクールな男が最高の笑みを浮かべていた。
開始早々に、劣勢を強いられる試合展開。先発・メッセンジャーが2回5失点でKO。大きなビハインドを背負った。だが、福留は言う。「絶対に追いついてやろう。全員がそういう雰囲気になっていた」。
七回に4番・良太の2点二塁打で追いつく。そして九回には鳥谷が、チームの今季初本塁打となる1号勝ち越しソロ。勝利まであと少し‐。だが、九回に守護神・久保が同点に追いつかれ、勝負は延長戦に突入。負ければ、和田阪神初の単独最下位。そんな苦境でも「久保も頑張っていた。僕らが何とか点を取らないと」と、福留は決してあきらめず勝機を待った。
あの時に比べれば‐。昨季はカブスを解雇後、7月にヤンキースとマイナー契約。傘下の3Aスクラントンでプレーを続けた。6時間にも及ぶバス移動を強いられ、食事面も満足のいくものはない厳しい環境だった。ただ、そんなマイナー生活は自分を見つめ直すきっかけになったという。
「やっぱり野球って、常に上のほうでやらないと面白くない。それに、こういうところでやっている人もいるんだと、一つ勉強になった」。
福留の活躍で得た勝利に「スゴイどころじゃない。これだけ執念のある試合ができたんだから」と和田監督も興奮気味にたたえた。タテジマをまとい、再び光り輝く場所に立った福留。「チームの連敗を止められて良かった」と笑う。次に狙うのは、勝利を積み重ねる、その一打だ。
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