マートン、4番で3タコ…気合空回り
「広島6-1阪神」(7日、マツダ)
代役4番に指名された阪神・マートンは3打数無安打。快音を奏でられず、今季初の連勝をもたらすことはできなかった。試合後、M砲は報道陣の問い掛けにわずかに笑みをこぼしたが、コメントを残さず、足早に球場を後にした。
先発・前田健の前に新打線が沈黙。西岡が四回に中前打を放つまでパーフェクトに封じられ、得点圏でマートンに打順が巡ったのはその四回のみ。マエケンが降板する七回までわずか2安打では、突破口を見いだすことすら困難だった。
コーチミーティングでは全会一致で、離脱した良太の『代役4番』が決まった。雨天中止になった前日6日の練習後、和田監督は「1日悩むわ」と思案し、故障明けの新井貴ではなく、背番号9を抜てきした。
マートンは昨季、2試合4番を任され、8打数3安打と結果を残したが、判断材料は過去のデータではない。関川打撃コーチは「ほかに候補もいたけど、現状(の成績)で適任者を考えた結果。(首脳陣)全員で決めた」と経緯を説明。開幕からの7試合を6番で打率・333、2打点と好調を維持する安打製造機に大役が託された。
“ニュー・マートン”への期待もある。この日、マートンは球場ロッカールームで念入りに打撃フォームをチェックしていたという。関川コーチは「今年は頭がぶれなくなった。彼もそういうことを意識してやっている」と、新たな試みに手応えを感じ取っている。
10、11年に2年連続でリーグ最多安打を放ち、助っ人史上最高のヒットメーカーとたたえられたが、昨季は打率・260で118安打止まり。不安定な精神面も露呈し、2軍降格も経験した。
契約最終年となる今季は再び日本球界を席巻する活躍を誓う。それでも、WBCのベストナインに選出された日本のエースを敵に回せば、簡単ではなかった。だが次回対戦で、本来の姿を取り戻したマートンなら、打順を選ぶことなく、あの輝きを取り戻すはずだ。