鳥谷、昨季2敗のG宮国打って上昇だ

 阪神・鳥谷敬内野手(31)が8日、甲子園球場で行われた全体練習に参加。巨人先発予定の宮国椋丞投手(20)に昨季5打数2安打のキャプテンは、いつも通り「自然体」を強調したが、WBCで宿った気迫でG倒に臨む。巨人は、宮国、杉内、沢村の“虎倒ローテ”で開幕から8連勝の球団記録を狙う。

 宮国の対阪神戦勝率は10割。すなわち、猛虎は宿敵の20歳右腕を沈めたことがない。対戦は昨季2度のみで、2戦2敗。防御率2・08に封じ込まれた難敵が本拠開幕戦の相手。得点力の乏しい打線の現状を踏まえれば、歓迎できる相手ではないが、攻略の糸口を探れば、おのずと打倒宮国の旗頭が浮かんでくる。

 キャプテン鳥谷だ。宮国との対戦打率・400は、チームトップ。5打数2安打と打席数が少なく、好相性と呼べるデータとまではいかないが、苦手意識はないはずだ。

 「ヒットになるならないは別にして、ボールは捉えられているので、あとはピッチャーとの駆け引きになると思う」

 練習後、打撃状態を問われた鳥谷は、数字に表れない感触の良さを口にした。前日の広島戦では先発前田健に3打数無安打に封じられるなどノーヒット。開幕から8戦を終え、打率・200とスロースタートになっているが、自己分析が明瞭なだけに、きっかけさえつかめば上昇曲線の予感が漂う。

 今季初の伝統の一戦をその舞台にしたい。プロ入り後、過去9年間の通算巨人戦打率は・293。これは、巨人キラーでならした金本知憲氏(本紙評論家)の・283を超える頼もしい数字だ。昨季も対戦打率は・287でチームトップ(規定打席到達者)。言葉でG倒を誓う柄ではないが、積み上げた成績が宮国撃ちの期待感を抱かせる。

 この日行われた全体練習では甲子園球場のポール間を1人黙々と走るなど、自己調整に励んだ。72年ぶりの開幕7連勝で勢いづく巨人戦については「普段通りやるだけですよ」と、鳥谷らしく冷静だったが、今年はWBCで国を代表する重みを体感したことで、フィールドで“熱くなる”新境地も芽生えた。

 昨オフ、原監督から「声が小さい!」と叱咤(しった)された宮国も気迫を胸の内に秘めるタイプ。クールで冷静な男同士の火花が、伝統の一戦を熱くする。

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