能見G止めた!完封12球団一番乗り
「阪神2‐0巨人」(9日、甲子園)
これがエースや!阪神・能見篤史投手(33)が無敗の巨人打線を5安打に封じ込める快投。12球団一番乗りで完封も決めた。甲子園開幕に集まった大観衆も大満足。お立ち台で能見が「なんとか勝利をお届けしようと思って、最初から全力でいきました」と言えば決勝打を放ったマートンも「ノウミサン、アイシテル」と愛のメッセージ?ムードは最高潮。さあ連勝や。
カクテル光線が、しなやかなフォームを美しく照らし出す。鮮やかな芝生と黒土の匂いが本能を刺激する。華々しく幕を開けた甲子園開幕の一戦。主役は能見だ。無敗の宿敵を止め、自身の今季初勝利を完封で飾った。
「とにかくたくさんお客さんが入ってくれましたので何とか勝利をお届けしようと、最初から全力でいきました」
初回からゼロを並べ、2点リードの八回1死一、二塁を無失点で切り抜け、九回は1死一塁から阿部を二塁併殺打に仕留めた。108球でのゲームセットは、がむしゃらに投げた結果じゃない。随所に策をちりばめた。
「色々なデータがあるんで。向こうに僕のデータが。その辺がどうだったか、ということだったので。(巨人にとって)裏になったかは分からないですか」
踏まえたのは、昨年2勝3敗だった巨人戦。事前に藤井彰と「色々と話はした」と配球面に工夫を施した。作戦は明かさなかったが、直球を主体に、通常より多く投じたスライダーも策の一つ。能見=フォークやチェンジアップのタテの変化、というイメージを逆手に取るように投じた。
WBC参加中に阿部と会話した際に「勝負球はフォークの方が多いです」と伝えていたが、それは偽りのない真実。「(スライダーは)意外にコントロールがいいので、最近。(理由はWBCなど)色々と関係はあります」と、WBCで他の投手らと話してヒントを得たスライダーが、効果的にきまった。
もちろん、鋭い変化球も強い腕の振りがあるからこそ。WBCでは能見のブルペンを眺めた投手や野手から感嘆の声が飛び交った。阿部も「あれだけ腕を振られたら、振ってしまうよ」とつぶやいたという。能見自身、WBC初戦のブラジル戦では「腕がちぎれるかと思った」という思いで投げた。信念はどんな舞台でも変わらない。
「去年も(最初の巨人戦で)完封してそこからガタガタといったので。ここからが大事。(来週も)色々とあると思いますよ」
1週間後、東京ドームで再び巨人と向かい合う。昨年と同じようにはいかない。白星で始まった伝統の一戦。能見をはじめとする虎バッテリーの仕掛ける駆け引きが、球界をも盛り上げる。