西岡美技!福留レーザー!虎守り抜いた
「阪神0‐0巨人」(10日、甲子園)
これぞ伝統の一戦だ。両雄の意地がぶつかり合う白熱の試合は、延長十二回を闘ってのドロー。だがそれは、随所に虎の好守が光った、価値ある引き分けでもあった。
まずは阪神・福留の肩。巨人の得点の芽を摘むスーパープレーを見せ、4万を超える聖地の大観衆を沸かせた。場面は、両チーム無得点の七回だ。
1死からのボウカーの打球が右翼線ではねる。迷いなく一塁ベースをける姿に、福留は「向こうが走っていたので、勝負に出た」。打球に追いつくと素早く二塁へ矢のような送球。右腕から放たれたレーザービームがワンバウンドで遊撃・鳥谷のグラブに収まり、見事にボウカーを刺した。
この試合を落とすわけにはいかない。巨人戦までの3カードは、すべてで初戦を取りながら2戦目以降を落とし、チームは波に乗り切れずにいた。前夜、4番・マートンの決勝打とエース・能見の完封で得た勝利の流れを、簡単に手放すことなどできなかった。
福留のプレーは、チームに連鎖する。延長十一回。先頭・阿部の二塁後方への飛球を、今度は西岡が背走しながらの好捕だ。「風というよりは、ボールを追った。先頭だったので捕れて良かった」。執念が、そのグラブへ打球を引き寄せた。
バックの堅い守備に助けられながら、投手陣は先発・スタンリッジ以降、福原、久保、安藤、加藤の5投手で零封リレー。和田監督も「昨日、今日と1点も取られていないからね」と称賛だ。
打線は点を奪えなかった。2度の得点圏で凡退の福留が「1本出ていたら良かったんだろうけど…」とし、西岡も「ホームで勝てなかったのが悔しい」と唇をかんだ。
だが猛虎の意地の守りが巨人を相手に2戦連続、計21イニング無失点に抑えたのも、また事実。「打線の奮起あるのみやね。明日何とか点を取って勝ち越したい」。和田監督は最後の言葉に力を込めた。この粘り、必ず次の勝利につなげてみせる。